あがり症の原因③ー視線恐怖症
あがり症の原因③ー視線恐怖症

あなたは、発表会やプレゼンで「観客の視線が怖い」と思うことはありませんか?
まるで、たくさんの知らない観客たちから一斉に一挙手一投足をジャッジされているような気がして、恐怖を感じます。
確かに、会場いっぱいに集まった見ず知らずの観客たちから一斉に見詰められることは、なかなか非日常的な体験ですよね。
そんな非日常的な体験に緊張してしまうのは仕方ないことです。
ひどいあがり症だった私も、控室で出番を待っている間に「私がステージに出るのをたくさんの知らない観客たちが待っている!」と考えただけで、身震いするような恐怖を感じていました。
このように、あがり症の人は「たくさんの知らない人たちから一斉に見つめられる恐怖」を感じてあがってしまいます。
しかし、あがり症と無縁の人は同じようにたくさんの知らない観客たちから見つめられても、何の恐怖も感じません。
ということは、あがり症になる人・ならない人との間に何かの「違い」があるということです。
その「違い」とは、「視線恐怖症があるか・否か」です。
視線恐怖症とは?
視線恐怖症とは、他人の視線に恐怖を感じてしまうことです。
よく、「目は口程に物を言う」「目は心の窓」なんて言いますよね。
「目」そのものに感情はありませんが、目線が感情を表すと考えられています。
たとえば、「冷たい目」「優しい目」「怒った目」「悲しそうな目つき」「憎らしそうな目」「いやらしい視線」「脅えたような目つき」など、たくさんの感情が表現されます。
あがり症になる人は、観客たちの視線を「自分のパフォーマンスを冷静にジャッジし、厳しくダメ出ししてくる目」だと考えています。
コンクールで演奏をジャッジする審査員たちなら、「厳しい目」で演奏を評価するかもしれません。
でも、私たちのようなど素人が発表会や披露宴会場で歌ったり楽器演奏したりスピーチしたりすることは、所詮「素人の余興」に過ぎません。
それに、会場に集まる観客たちは発表会出場者の家族や友人たちですから、それほど緊張する場所ではありません。
集まる観客の誰一人として、「厳しくジャッジしてやろう」とは思っていないでしょう。
それにも関わらず、「観客たちが私にダメ出しの嵐を突きつけてくるに決まっている」ーその考えに支配されてしまいます。なぜ、そんな不合理な考えに支配されてしまうのか、その理由は「過去に、他人の視線が関係していた場面でイヤな目に遭ったことがある」からです。
視線恐怖症と過去のトラウマ
私の場合は、視線恐怖症の原因に2つの事件が関係していました。1つは、「上級生女子2人組因縁事件」、2つ目は「担任教師暴力事件」です。
①「上級生女子2人組因縁事件」
私が小学1年生の頃、シトシトと雨が降る下校途中に私の前を歩いていた上級生女子2人組から突然因縁をつけられた事件です。私はこの時のことがトラウマになり、「上級生女子2人組の視線が怖い」と思いました。
②「担任教師暴力事件」
私が小学4年生の頃、国語の授業で宿題を提出しなかった私に担任教師が激昂し、「クラスのみんなが見ている前で」私の髪の毛をつかんで教壇で引きずり回した事件です。私はこの時のことがトラウマとなり、「クラスのみんなが私を憐れんだり、蔑んだりする視線が怖い」と思いました。
これらの恐怖が私の脳に浸透し、「たくさんの他人の視線が怖い」と思うようになったのでしょう。大人になり、子どもの頃に受けた心の傷は封印されたはずでした。ところが、発表会という「たくさんの知らない他人が私を見つめる場面」で封印していた恐怖が一気に甦ります。
すると、脳の中にある「扁桃体」というアーモンド状の神経集合体が「この状況は危険だ!危ないから逃げろ/闘え/凍り付け!」と指令を出します。指令を受け取った身体は副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリンなどのストレスホルモンを分泌させます。
これらのストレスホルモンの影響で交感神経が優位になり、身体は様々な「緊急事態対応」に作り変えられます。私たちが大量の発汗をしたり、心臓が激しくバクバクしたりするのは、交感神経が優位になったことで起こる症状です。
ステージ上ではどんなに心臓が口から飛び出しそうなほどバクバクしていたり、手足がガクガクブルブル震えたりしていても、ステージを降りればすぐにいつもの平常心に戻れます。その理由は、「ステージ上でのパフォーマンス」という最大の危機を脱したからです。
視線恐怖症の治療
視線恐怖症を克服するために、私は①「上級生女子2人組因縁事件」と、「担任教師暴力事件」の2つから受けた心の傷を癒す必要がありました。徹底的に心の傷を癒したところ、私は「他人の視線が怖い」と思うことはなくなりました。
それまでは、「観客たちから見つめられている!」という恐怖を感じてあがってしまいましたが、治療が進む内に観客の視線に恐怖を感じなくなりました。最終的には、会場を見渡して観客1人1人の視線を受け止めることができるようになったのです。
もし、あなたが「観客の視線が怖くてたまらない」と感じているなら、私のようなトラウマがあるかどうかを探ってみてください。原因が分かり、心の傷を癒せば観客1人1人とアイコンタクトできるようになるはずです。そうすれば、どんなにたくさんの知らない観客たちに見つめられても、恐怖を感じなくなり、あがらなくなるはずです。