ステージ恐怖症を克服するためのたった1つのテクニック

ステージ恐怖症を克服するためのたった1つのテクニック

ステージ恐怖症を克服する方法
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ステージ恐怖症とあがり症の違い

ステージ恐怖症とあがり症は、ほぼ同義語のように思われますが、微妙に違いがあります。

あがり症は、披露宴のスピーチ、プレゼン、 国語の授業の朗読、発表会、学芸会、集団面接など、「たくさんの人を前にしてあがる症状全般」です。

これに対して、ステージ恐怖症(舞台恐怖症)は演劇、バレエ、コンサート等の芸術系のステージであがってしまうことです。

「先生にムリヤリ出させられる発表会とか、仕事で止むを得ないプレゼンやスピーチはともかく、芸術家でステージ恐怖症なんて、いるの・・・?」

と疑ってしまいますよね。

私も、カウンセラーの仕事を始める前は「プロの音楽家や芸術家は『自分大好き人間』が多いから、あがり症とは無縁だろう」と思っていました。

ところが、カウンセラーの仕事を始めたところ、プロの音楽家からカウンセリングのご依頼を受けることが多いことに驚きました。

私がこのサイトを開設して1番初めにお問い合わせを頂いた方が、なんと外国のプロオーケストラで活躍するヴァイオリニストさんだったのです。

クライアントは口を揃えて「プロの音楽家・芸術家があがり症で悩んでいるのは、珍しいことではない」と仰るのです。

プロの音楽家・芸術家でさえ本番のステージであがってしまう・・・。

ということは、やはり「場数を踏めば、あがり症は治る」説が間違いであることは明らかですよね。

クライアントの皆さんも「あがり症は、場数を踏めば治ると誤解されている。誰も私の苦しみを分かってくれなくて辛い」と仰います。

私も、自分がひどいあがり症だと分かったとき同じ思いでしたから、彼らの苦しみはよく分かります。

それでは、ステージ恐怖症はどうすれば克服できるのでしょうか?

ステージ恐怖症を克服するためのたった1つのテクニックは、「失敗することは、いけないことではない」ということを認識することです。

ステージ恐怖症の原因

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ステージ恐怖症もあがり症も、根っこのところでの原因は同じだと思います。

関連記事:あがり症の原因-5つの失敗

大人になってからあがり症を発症する人は、多かれ少なかれ、子どもの頃に学芸会での失敗とか、音楽の授業での失敗とか、「みんなが見ている前で失敗し、恥ずかしい思いをした」経験があるはずです。

そのとき脳に刻み込まれた恥ずかしさやみじめさが、大人になってプレゼンやスピーチ、発表会など、「たくさんの知らない人たち」から見つめられることでフラッシュバックします。

そして、交感神経が優位になってあがり症を発症します。

ただ、ステージ恐怖症を発症する人たちは、あがり症を発症する人たちと違って、子どもの頃に学芸会や運動会などで恥ずかしい思いをしてこなかったのでは?と思います。

もし、恥ずかしい思いをして、それがトラウマになってしまったら、「たくさんの知らない人たちから見つめられる場」に立って、そこでなにかのパフォーマンスをすることを職業にしようとは思わないと思います。

プロの音楽家・芸術家は2~3歳の小さい頃からピアノやヴァイオリン、バレエなどのお稽古事をスタートします。プロになるまで、発表会やコンクールは散々出場しています。つまり、彼らはたまにしかステージに立たない素人さんと違って「舞台慣れ」しているハートの持ち主です。むしろ、「ステージに立つのが好き」「スポットライトを浴びるのが快感」という人でないと、プロのパフォーマーは務まらないと思います。

したがって、ステージ恐怖症の原因は失敗恐怖症とあがり恐怖症だと私は思います。

「失敗恐怖症」とは、自己評価が低いため、あるいは完璧主義が強すぎるために「失敗することで、自分の価値が下がってしまう」と、失敗することを怖れてしまうことです。

「あがり恐怖症」とは、「あがること」そのものを怖れることで、予期不安の一種だと思います。

「音楽エリート」ゆえの悩み

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私のクライアントの中には、プロの演奏家として高い地位を築いていらっしゃる方もいます。

かれらは自分に対して妥協を許さず、常に「完璧さ」を追求することで、自然とエリート的な地位に就きます。

しかし、上手くいっているうちはいいのですが、人間ですからときに演奏でミスしてしまうこともあります。

そういうとき、常に「完璧さ」を追求していることがかえって災いします。

そして、ミスした自分を許せず、自分を責めてしまいます。

彼らは「また、演奏でミスをしてしまったら、どうしよう?」という怖れを抱いてしまいます。

この恐怖がマックスになると、ステージ恐怖症を発症してしまうのです。

ステージ恐怖症と扁桃体

脳の中に「扁桃体」という神経集合体があります。

扁桃体はものごとに対し、過去の経験を基にして「危険か、そうでないか」を判断します。

失敗することを異常に恐れる音楽家や芸術家がステージでのパフォーマンスを考えるときに

「上手くパフォーマンスができなかったら、どうしよう?」

という恐怖に囚われます。

*これを「予期不安」と言います。

すると、扁桃体が「ステージでのパフォーマンスは、危険な行為なんだな」と認識します。

ステージでのパフォーマンスが危険な行為だと認識した扁桃体は全身に「そこから逃げろ!」という指令を出します。

この指令が副腎髄質に到達すると、アドレナリンとノルアドレナリンが分泌されます。

アドレナリンは交感神経を活発にする作用があります。

交感神経が活発になると、大量の発汗や手足の震え、激しい動悸などのあがり症の諸症状に襲われます。

1度こうしてあがり症の諸症状に襲われてしまうと、失敗した自分を赦すことができない音楽家や芸術家は激しいショックを受けます。

「たくさんの人が見ている前で、みっともない姿を見せてしまった・・・」と、何日もクヨクヨと落ち込みます。

そして、「また、次のステージであがったら、どうしよう?」と、今度は「あがり恐怖症」に襲われます。

1度この恐怖にとりつかれてしまうと「あがり症の無限ループ」に陥ってしまいます。

関連記事:あがり症の無限ループ

そうして、演奏会や舞台の度に抗不安薬やβ遮断薬などの精神薬を常用せざるを得なくなってしまうのです。

ステージ恐怖症の治療

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しかし、このように「あがり症の無限ループ」に陥ってしまった人であっても、心理療法で「失敗恐怖症」と「あがり恐怖症」を癒すことで、半年後~1年後には震えが止まり、3~4年後には強い不安感や恐怖感が消えます。

関連記事:あがり症の治療―自分を好きになってあがり症を改善する方法

具体的なやり方ですが、まず失敗恐怖症の原因となった

  • 過去のステージでの演奏の失敗によるトラウマ
  • 完璧主義の原因となった、子どもの頃の母親との確執
  • 学芸会、発表会等、「たくさんの人が見ている前で失敗した」トラウマ

等をピックアップしてもらいます。

次に、目を閉じて「失敗したときの状況」を思い出してもらいます。

そして、そのとき「どんな感情を抱いたか」を答えてもらいます。

大抵は、「恥ずかしい」「どうしよう」といった、困惑した感情を抱いていたことが分かります。

これらのネガティブな感情が潜在意識の中にある間は、ステージ恐怖症から逃れることはできません。

なぜなら、そのネガティブな感情が扁桃体を刺激するからです。

したがって、これらのネガティブな感情を潜在意識から消す必要があります。

潜在意識から消すためには、これらのネガティブな感情を持った自分を許すことです。

「恥ずかしいと思ったのは当然だ」「『失敗しちゃった、どうしよう』と困惑したのは当然だ」と、ネガティブな感情を持った自分を否定しないことです。

すると、不思議なことですがネガティブな感情はスーッと消えていきます。

その後、「1度失敗したからと言って、次も失敗する訳ではない」という新しい考えを潜在意識に植え付けます。

なぜ、1度失敗したことがクセになってしまって、何度も失敗してしまうかというと、「失敗することは悪いことだ」「だから、絶対に2度と失敗してはいけない」という強い思い込みがあるからです。

でも、産まれてから1度も失敗したことのない人なんていないし、「失敗は成功の母」というありがたい言葉もありますよね。

ステージ恐怖症と無縁の人は、このことをちゃんと理解しています。

失敗することを必要以上に恐れていないので、扁桃体が刺激されることもなく、不快な身体症状が現れることもないのです。

失敗した自分を必要以上に責めなくなることで、扁桃体も刺激されなくなります。

交感神経が優位になることもなくなるので、ステージ恐怖症も治るのです。

ステージ恐怖症を克服するためのたった1つのテクニックは、失敗することは、いけないことではない」ということを認識することです。

自分に対する異常な厳しさを無くすことで、リラックスして演奏に臨めるようになります。

すると、失敗を恐れていた頃より、かえって失敗しなくなるのです。

私もひどいあがり症でしたが、今では「なんとかなるさ~」「失敗しても、気にしない!」という精神でステージに臨めるようになりました。

脳は「予期不安」をキャッチしてあがり症になるので、「なんとかなるさ~」精神なら、あがらなくなります。

いつの間にか「次の舞台でどんなパフォーマンスをしようか?」と、ステージ恐怖症ならぬ、「ステージ大好き人間」へと変化していることでしょう。

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