あがり症を治すー呼吸法

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あがり症を治すー呼吸法

呼吸法とは、呼吸の仕方で心や体の機能を向上させることを目指す訓練法のことです。

私たちは普段何気なく呼吸をしていますが、その呼吸を意識的に行うことで心身を鍛える効果を期待します。

呼吸法であがり症を治せる、と主張する人がいます。

深く息を吸うことで気持ちを落ち着かせ、精神が安定することであがり症が治る、とする考え方のようです。

世間には、様々な分野で呼吸法が取り入れられています。

私は昔、合気道道場に月曜から金曜の毎朝2時間、半年ほど通ったことがあります。

そこの道場で毎朝呼吸法を習いました。

呼吸法にも様々な流儀があるようですが、そこの道場で習った方法は、まず鼻で深く空気を吸い、丹田(へその指三本下あたり)に意識を集中させながら、できるだけ長く息を吐く、というものでした。

また、声楽を6年習いましたが、声楽のレッスンでも毎回呼吸法を練習しました。

声楽で習った呼吸法は、まず鼻で素早く空気を吸い、横隔膜をふくらませながら、やはり丹田に意識を集中させ、息をできるだけ遠くに飛ばすような感覚で、「太く長く吐く」というものでした。

呼吸法の効果

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私は合気道道場で半年、声楽で6年間、それぞれ呼吸法をしっかり習いました。

したがって、呼吸法を知らない人と比較すると、呼吸法に関しては知識もスキルもあるはずです。

それにも関わらず、呼吸法は私のあがり症を治すのには全く役に立ちませんでした。

いざステージに立つと、呼吸法のことなんて意識の外に飛びます。

はっきり言って、発表会やプレゼンの本番では、


「呼吸法なんかにかまっていられない」

が本音です。

発表会では歌詞を間違えないように歌うのが精いっぱいだし、プレゼンでは自分が伝えたいことをみんなが聞き取りやすいように、声を大きく、滑舌よく話すので精いっぱいです。

あがり症の原因

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いくら普段の生活で呼吸法を取り入れて精神を落ち着かせていても、肝心の本番で発揮できなければ、呼吸法は意味がありません。

そもそも、本番で落ち着いてのんびり呼吸法ができる人間ならば、あがり症にはなりません。

したがって、呼吸法であがり症を治すことができる、とする説には、私は大いに疑問を感じます。

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心理療法を自力で開発し、「あがり症の原因を教えてほしい」と、自分の心の声に耳を澄ましました。

すると、もの心ついた頃から今日に至るまでの、「人前で失敗した恥ずかしくてみじめな経験の数々」が脳裏に浮かびました。

私の脳は、それらの「恥ずかしくてみじめな経験」のことをしっかり記憶していました。

たとえば、私はこんな恥ずかしくてみじめな経験をしました。

  1. 音楽の授業でリコーダーを吹きそこなって失敗し、それをクラスのみんなから笑われた、恥ずかしくてみじめな経験
  2. 運動会のリレー競技でバトンを受けそこなって失敗し、それをクラスのみんなから白い目で見られた恥ずかしくてみじめな経験
  3. ホームルームでの発言が思いっきりすべってしまい、それをクラスのみんなから笑われた恥ずかしくてみじめな経験
  4. 学芸会でセリフをど忘れしてしまい、それを学校中の生徒から笑われた恥ずかしくてみじめな経験

これらの恥ずかしくてみじめな経験の数々は、いったん私の潜在意識に抑圧されました。

しかし、大人になってクラシックギターや声楽の発表会という、

「たくさんの知らない人から見られる場」

に立つと、途端に潜在意識から甦ります。

そして、脳の中の扁桃体というアーモンド状の神経集合体が

「あのときと状況が似ている。また、あのときみたいに恥ずかしくてみじめな経験をするぞ!」

と、警告を発します。

その警告を受け取った体は、ストレスホルモンを分泌させます。

そして、ストレスホルモンの影響で交感神経が優位になります。

交感神経が活発になったことで、

  • 手足がガクガクブルブル震える
  • 心臓が口から飛び出しそうなほどバクバクする
  • 全身から大量の発汗
  • 声が上ずってひっくり返る
  • しっかり暗譜した楽譜をキレイにど忘れ

という、「恥ずかしくてみじめな経験」をさせられることになるのです。

あがり症の治療

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したがって、私のあがり症の治療は、上記の「恥ずかしくてみじめな経験」から受けた心の傷を心理療法出癒すことでした。

そして、

「この世で一度も失敗したことのない人はいない」

「失敗することは恥ずかしいことではない」

「誰かから失敗を笑われたとしても、それで私の価値は傷つかない」

という、新しい信念を心理療法で脳に植え付けました。

すると、たくさんの知らない人を前にして何かをすることに、緊張しなくなりました。

「たとえ失敗して、それを誰かから笑われたとしても、そのことで私の価値は揺らがない」

という自信を持つことで、徐々にではありますが、強い不安感が薄らいでいったのです。

治療を開始してから4年後には、強い不安感はほとんど無視できるようになりました。

失敗することに対する罪悪感や恐怖心が消えることで、私はあがり症を克服できたのです。

呼吸法で失敗に対する罪悪感や恐怖心が消えるか?というと、もちろん答えは「No」ですよね。

ぜひ、皆さんも失敗に対する罪悪感や恐怖心を心理療法で消してください。

発表会やプレゼンなどの「みんなから見られる場」で、自在に息をコントロールして発声できるようになるでしょう。

「あがり症を治すための、納得のいく説明がほしい」
「根拠のない民間療法なんて、信用できない」

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