「本番に強い人」の頭の中

「本番に強い人」の頭の中

woman in black long sleeve dress playing piano
Photo by Nataliya Vaitkevich on Pexels.com

「本番に強い人、弱い人」という言葉を耳にすることがあります。

普段の練習では上手くいくのに、本番ではあがってしまってボロボロ…という「本番に弱い人」もいれば、涼しい顔で本番を楽々こなす「本番に強い人」もいます。

ひどいあがり症だった私は、もちろん前者でした(´;ω;`)ウゥゥ。

それにひきかえ、「あがるって、どういうこと?」とでも言いたげに、涼しい顔をして歌う出場者たちのなんとうらやましかったことか・・・

「私も、あんな風に平気な顔して歌いたい!」「いったい、あんな風に涼しい顔をして歌う人の頭の中はどうなっているの?」と思ったものでした。

そのときは「涼しい顔をして歌う人の頭の中」がさっぱり理解できませんでした。

しかし、今なら分かります。

「涼しい顔をして歌う人の頭の中」は、「な~~~んにも!考えていない」のです。

*まあ、当然歌う歌詞とか音程とかリズムとかは考えているとは思いますが・・・

本番に弱い人の頭の中

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Photo by Arina Krasnikova on Pexels.com

いっぽう、「本番に弱い人」・・・つまり当時の私は、こんなことを考えていました。

「あがって失敗したら、どうしよう?」
「あがって歌詞を忘れたら、どうしよう?」
「あがって声が震えたら、どうしよう?」
「あがって手足が震えたら、どうしよう?」
「そうなったら、観客は私をバカにするに違いない!」

・・・と、これらの考えがぐるぐると頭の中を駆け巡っていました。

ハッキリ言って、

「考えても仕方がないこと」ばかりです(汗)。

今なら、これらの不安や恐怖が「予期不安」という言葉だということは分かります。

しかし、その当時の私は「予期不安」という言葉を知らないのはもちろんのこと、心理学も脳神経科学も勉強していませんでした。

そのため、「なんで、こんなにも不安な気持ちに襲われるんだろう?」という疑問を抱くばかりでした。

「本番に強い人」の脳は、私のような予期不安は1ミリも存在していないことでしょう。

不安や恐怖がなければ、純粋に歌や楽器演奏に集中できます。

たとえ日々の練習量が同じであっても、頭が予期不安でいっぱいの私と違って、パフォーマンスに差が出るのは当たり前のことです。

「本番に強い人」になる方法

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Photo by Wesley Carvalho on Pexels.com

「本番に強い人」になるためには、「考えても仕方のないこと」を一切考えないことです(笑)。

当時の私は、「失敗したら、絶対観客が私をバカにするに違いない・・・」という考えで頭がいっぱいでした。

そして、「考えても仕方のない不安や恐怖」のせいであがり症になってしまったのでした。

「本番に強い人」は、絶対に失敗したくない、というこだわりよりも、「練習の成果を披露したい」「先生から教わったとおりに演奏しよう」という方に重点を置いています。

よく、「一度に2つのことを考えることはできない」と言いますね。

「本番に強い人」になるには、「失敗したら、どうしよう?」と考えるのではなく、「教わったとおり、きちんと演奏しよう」と考えればいいのです。

それには、どうしたらいいのか?というと、答えは「一切のエゴを無くす」ことです。

「一切のエゴを無くす」ためには、ありのままの自分を愛することです。

ありのままの自分を愛するためには、自分の弱さやダメな部分を受け入れて愛してあげることです。

自分の弱さやダメな部分を受け入れていない人は、他人からの評価に一喜一憂します。

そのため、「絶対に失敗したくない!」という考えに取りつかれてしまいます。

そして、その気持ちが強すぎてしまい、かえって緊張し過ぎてあがって失敗してしまいます。

誰でも失敗するよりは成功したいものですが、あがり症になる人は成功への強いこだわりがあります。

・・・というより、「ダメな自分、弱い自分」を絶対に人前にさらしたくない、という強い願望があります。

そのため、失敗した自分を許せないのです。

「本番に強い人」は、エゴが満たされています。

エゴが満たされている人は、他人の評価を大して気にしません。

たとえ演奏や歌が失敗しても、そのことで深刻なダメージを受けません。

失敗を恐れ過ぎることがないから緊張し過ぎることもなく、失敗もしなくなるのです。

エゴを満たす方法

photo of toddler smiling
Photo by Alexander Dummer on Pexels.com

エゴが満たされている人・・・というと、「何もかもが上手くいっていて、悩みなんて何もない、幸せな人」を思い浮かべますよね。

そういう人もいるかもしれませんが、エゴが満たされている人にだって悩みや欠点はあります。

ただ、そのことで「こんな自分はダメ人間だ」と、自分で自分の価値を貶めるようなことはしないだけのことです。

あなたが幼かったときのことを思い出してください。

友達と遊ぶのに毎日が夢中で、泥だらけになって走り回ったり、疲れてヘトヘトになるまで遊んだり・・・

その頃のあなたは、「楽譜どおりに演奏できない自分はダメな人間だ」なんていう考えは一切持たなかったはずです。

ただ、「楽しいこと」に日々貪欲だっただけなのではないでしょうか?

そう、今のあなたの悩み・・・「完璧に演奏できない自分はダメ人間だ」という考えは、大人になってから生まれた考えです。

幼かった頃のあなたは、「泥んこ遊びが完璧にできない自分はダメ人間だ」なんて思わなかったはずです。

その頃のことを思い出して、純粋に歌や楽器演奏を楽しめばいいだけのことです。

エゴが満たされている人は、幼な子のような気持ちで、ただ純粋に歌や楽器演奏を楽しんでいます。

エゴが満たされていない人は、ちょっとしたことで「こんな自分はダメ人間だ」と落ち込んでしまいます。

そのため、「失敗して、人前で無様な姿を見せたくない」という考えに取りつかれてしまうのです。

いつも何事も上手くいけばいいですが、すべてを自分でコントロールできないですよね。

エゴが満たされている人は、些細なことで自分の価値を下げるようなことはしません。

思うようにいかないことがあっても、「まぁ、そんなこともあるよね」で済ませます。

あがり症になる人は、「絶対に失敗したくない。1ミリの失敗も許せない!」という、そもそもが無茶な願望を持っています。

その無茶な願望ゆえにあがって失敗してしまうのなら、まずはその無茶な願望を捨てることです。

それには、心理療法で自分の嫌いなところを一つずつ受け入れるようにすることです。

欠点だらけの自分であっても、自分を恥じる必要はないんだ・・・という考えが頭に根付くと、失敗を恐れなくなります。

そもそも、失敗を極端に恐れる理由は、自己評価が低く、失敗を人からバカにされることでさらに自分の価値が落とされることを恐れているからです。

心理療法でありのままの自分を受け入れるようになると、他人からの評価を気にしなくなります。

「私は私。ありのままの私で価値はあるんだ」というゆるぎない自信がつくと、「私の価値は、他人からの評価に左右されない」という自信が湧いてきます。

こうして、エゴが満たされると、「失敗したら、他人は私をバカにするに違いない」という恐れが消えていきます。

そして、あなたは他人からの評価を一切気にすることなく、パフォーマンスに集中できるようになります。

そのような「無私のこころ」で演奏したり、歌ったりした音楽は、きっとすべての聴衆の心をとらえるようになるに違いありません。

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