音楽家の悩み|本番で実力を出せない
音楽家の悩み|本番で実力を出せない

音楽家で「本番で実力を出せない」という悩みを持つ人がいます。普段コンサートで演奏している分にはいいのですが、コンクールやオーディションなど、その人の実力が問われる場になると、実力を発揮できなくなってしまいます。
クラシックの音楽家になるような人は、2、3歳の幼い頃からピアノやヴァイオリンなどの楽器演奏のレッスンをスタートさせられます。それから音大へと進み、音楽家になるまで、日々レッスンと練習の日々です。
当然、実力は申し分ないはずですが、なぜか本番で実力を出せなくなってしまいます。
そんな悩みを持つ音楽家が本番で実力を出せるようになるには、「無私のこころ」で演奏できるようになることです。
「本番に強い人」の頭の中
「本番に強い人、弱い人」という言葉を耳にすることがあります。
普段の練習では上手くいくのに、本番ではあがってしまってボロボロ…という「本番に弱い人」もいれば、涼しい顔で本番を楽々こなす「本番に強い人」もいます。ひどいあがり症だった私は、もちろん前者でした。
それにひきかえ、「あがるって、どういうこと?」「あがったことないから、わかんない」とでも言いたげに、涼しい顔をして歌う出場者たちのなんとうらやましかったことか・・・
「私も、あんな風に平気な顔して歌いたい!」「いったい、あんな風に涼しい顔をして歌う人の頭の中はどうなっているの?」と、当時は思ったものでした。
そのときは「涼しい顔をして歌う人の頭の中」がさっぱり理解できませんでした。
しかし、今なら分かります。
「涼しい顔をして歌う人の頭の中」は、「音楽のこと以外、なにも考えていない」のです。
「本番に弱い人」の頭の中
いっぽう、「本番に弱い人」・・・つまり当時の私は、こんなことを考えていました。
「あがって失敗したら、どうしよう?」 「あがって歌詞を忘れたら、どうしよう?」 「あがって声が震えたら、どうしよう?」 「あがって手足が震えたら、どうしよう?」 「そうなったら、観客は私をバカにするに違いない!」
・・・と、これらの考えがぐるぐると頭の中を駆け巡っていました。ハッキリ言って、「考えても仕方がないこと」ばかりです。
今なら、これらの不安や恐怖が「予期不安」という言葉であることは分かります。
しかし、その当時の私は「予期不安」という言葉を知らないのはもちろんのこと、心理学も脳神経科学も勉強していませんでした。
そのため、「なんで、こんなにも不安な気持ちに襲われるんだろう?」という疑問を抱くばかりでした。
「本番に強い人」の脳は、私のような予期不安は1ミリも存在していないことでしょう。不安や恐怖がなければ、純粋に歌や楽器演奏に集中できます。
たとえ日々の練習量が同じであっても、頭が予期不安でいっぱいの私と違って、パフォーマンスに差が出るのは当たり前のことです。
「本番に強い人」になる方法

「本番に強い人」になるためには、「考えても仕方のないこと」を一切考えないことです。
当時の私は、「失敗したら、絶対観客が私をバカにするに違いない!」という考えで頭がいっぱいでした。そして、「考えても仕方のない不安や恐怖」のせいであがり症になってしまったのでした。
「本番に強い人」は、絶対に失敗したくない、というこだわりよりも、「練習の成果を披露したい」「先生から教わったとおりに演奏しよう」という方に重点を置いています。
よく、「一度に2つのことを考えることはできない」と言いますね。「本番に強い人」になるには、「失敗したら、どうしよう?」と考えるのではなく、「教わったとおり、きちんと演奏しよう」と考えればいいのです。
それには、どうしたらいいのか?というと、答えは、ありのままの自分を愛することです。
ありのままの自分を愛するためには、自分の弱さやダメな部分を受け入れて愛してあげることです。自分の弱さやダメな部分を受け入れていない人は、他人からの評価に一喜一憂します。
そのため、「絶対に失敗したくない!」という考えに取りつかれてしまいます。そして、その気持ちが強すぎるあまりに緊張し過ぎてしまい、本番で実力を出せなくなってしまいます。
誰でも失敗するよりは成功したいものですが、あがり症になる人は成功への強いこだわりがあります。というより、「ダメな自分、弱い自分」を絶対に人前にさらしたくない、という強い願望があります。
そのため、失敗した自分を許せないのです。
「本番に強い人」は、ありのままの自分を愛しています。このような人は、他人の評価を大して気にしません。たとえ演奏や歌が失敗し、ダメ出しをされたとしても、深刻なダメージを受けません。
失敗を恐れ過ぎることがないから緊張し過ぎることもなく、失敗もしなくなるのです。
いつも何事も上手くいけばいいですが、すべてを自分でコントロールできないですよね。
ありのままの自分を愛している人は、些細なことで自分の価値を否定するようなことはしません。
思うようにいかないことがあっても、「まぁ、そんなこともあるよね」で済ませます。
あがり症になる人は、「絶対に失敗したくない。1ミリの失敗も許せない!」という、そもそもが無茶な願望を持っています。
その無茶な願望ゆえにあがって失敗してしまうのなら、まずはその無茶な願望を捨てることです。
それには、心理療法で自分の嫌いなところを一つずつ受け入れるようにすることです。
欠点だらけの自分であっても、自分を恥じる必要はないんだ・・・という考えが頭に根付くと、失敗を恐れなくなります。
そもそも、失敗を極端に恐れる理由は、自己評価が低く、失敗を人からバカにされることでさらに自分の価値が落とされることを恐れているからです。
心理療法でありのままの自分を受け入れるようになると、他人からの評価を気にしなくなります。
「私は私。ありのままの私で価値はあるんだ」というゆるぎない自信がつくと、「私の価値は、他人からの評価に左右されない」という自信が湧いてきます。
こうして、「自分」が満たされると、「失敗したら、他人は私をバカにするに違いない」という恐れが消えていきます。
そして、あなたは他人からの評価を一切気にすることなく、パフォーマンスに集中できるようになります。
そのような「無私のこころ」で演奏したり、歌ったりした音楽は、きっとすべての聴衆の心をとらえるようになるに違いありません。