あがり症の人への接し方
あがり症の人への接し方
10年間、クラシックギターや声楽の発表会ではあがり症で苦しんできました。
そんな私に、発表会を聞きに来てくれた友人や先生は様々な接し方をしてくれました。
その接し方は、もちろんその友人や先生のキャラに拠ります。
大別すると、次の3つに別れます。
・見て見ぬふり型
・スパルタ教育型
・なぐさめ型
・見て見ぬふり型
文字通り、私があがり症でボロボロになったことなど、「なかったかのように」接してくれます。
私としては、このタイプが1番有難かったです。
ステージであがってしまって大失敗した後、「きっと、友人の目には私がとんでもなくみっともなく映っているに違いない」と、落ち込んでクヨクヨと気に病んでいます。
そんなところへ、「私があがって大失敗したみっともない姿を見なかったかのように」振舞ってくれる友人が、まるで天使のように見えました。
なぜなら、私の失敗をスルーしてくれる友人の姿を見ている内に、自分までもが「自分があがって失敗したことがなかったかのように」錯覚できるからです。
そうして錯覚している内に、それ以上落ち込むことを避けることができました。
・スパルタ教育型
「あがるのは、練習不足だからよ!」と、あがって落ち込んでいる私にさらに追い打ちをかけます。
スパルタ教育式の先生にはこうやってよく怒られました。
先生はあがり症について知識がないので、「練習不足」と責められるのも仕方が無いことです。
でも、私がさらに落ち込んだのは言うまでもありません。
あがり症の人は「真面目・几帳面・優等生タイプ」が多いと言われます。
「真面目で几帳面、優等生タイプ」の私も、社会人の趣味と言えど、誰よりも熱心に練習していました。
もちろん音大生と比較すると練習量は圧倒的に不足しています。
それでも、社会人として趣味に使えるわずかな時間をすべて練習に充てていました。
そんなところへ、あがって失敗してしまい落ち込んでいるあがり症の人に「あがるのは、練習不足だからよ!」と責めるのは、見当違いもいいところです。
「これでも、精一杯練習しているのに」「これ以上、練習に充てる時間はない。いくら練習してもあがって失敗してしまう自分は音楽の才能のない人間なんだ」と、さらに落ち込んでしまいます。
・なぐさめ型
「今日は、いつもよりは良かったよ!」と一生懸命元気づけてくれます。
心の優しさから出た言葉なんだろうな、とは思います。
でも、スパルタ教育型の次に辛いのがこのタイプです。
あがり症の人は真面目で几帳面の人が多い傾向があります。
「この人にこんなに気を遣わせてしまっている私」に、さらに自分にダメだしをしてしまいます。
もちろん、なぐさめてもらっている間は「私を励まそうとしてくれているんだ」と思い、その人に感謝はします。
しかし、「見て見ぬふり型」と比較すると、なぐさめてくれている間は否応なしに「自分があがって失敗した事実」と向き合わされます。
そうすると、あがって失敗して落ち込んでいる自分にとっては「傷口に塩を塗る行為」に等しいのです。
もちろん、なぐさめてくれる人にはそんなつもりはないことは頭では分かっています。
しかし、自分にとっては傷口がドンドン広がっていくような気がしました。
あがり症の人にはどうやって接したらいいのか?
私的には「見て見ぬふり型」が1番有難かったです。
もちろん、「あがって失敗したことなど、なかったかのように」友人が振舞ってくれていても、次の発表会ではまた失敗して落ち込むことは分かっています。
しかし、友人から「見て見ぬふり」をしてもらうことで、少なくともその場ではそれ以上落ち込むことを避けることができるのです。
「見て見ぬふり型」はうつ病の人に対する接し方とも共通しています。
よく、「うつ病の人には『ガンバレ』は禁句」「うつ病の人には『温かい無関心』で接するのがベスト」と言いますよね。
うつ病は、精神エネルギーがゼロレベルに落ち込んでしまう状態です。
頑張りたくても頑張れないうつ病の人は「頑張れないのにガンバレと言われるのが辛すぎる」と、さらに落ち込んでしまいます。
しかし、周囲の人が「温かい無関心」で接してくれていると、温かい気持ちは伝わるものの、「自分のことを見守ってくれているんだな」と、素直に感謝する気持ちになれます。
妙に励まさず、叱りつけるでもなく、そっと「見て見ぬふり」をするのが、あがり症で悩んでいる人に対するベストな接し方と言えるでしょう。
もしも、あなたの友人やご家族であがり症に悩んでいる方がいたら、どうか「見て見ぬふり」をしてあげてください。
そして、このサイトのことを教えてあげてください。
どんなにひどいあがり症であっても、治ることを知れば、元気が出ることでしょう。
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「あがり症のせいで、周囲の人に気を遣わせるのが辛い・・・」
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