あがり症の人が真面目な理由

2020年5月10日

あがり症の人が真面目な理由

あがり症の人の特徴ー真面目人間

あがり症になる人は、「真面目」「完璧主義」「優等生」タイプが多いと言います。

「真面目」「完璧主義」「優等生」タイプというと、人によっては「優秀」というポジティブなイメージを抱いたり、「面倒くさそう」というネガティブなイメージを抱いたりします。

ひどいあがり症で苦しんでいた頃の私は、もちろん「真面目」「完璧主義」「優等生」タイプの人間でした。

遅刻なんて一切しなかったし、人との約束はきちんと守り、勉強を頑張り、常に品行方正であろうとしていました。

そして、自分と同じようなタイプの「真面目人間」を尊敬していました。

社会のルールやモラルを守らない「不真面目」な人に対しては、「なんで、この人はこんなにだらしがないの!?」と、一人でイライラしていました。

今から思えば、私は周囲の人に「いつも真面目くさっていて、堅苦しい人」と思われていたことでしょう(^^;。

ところが、あがり症を治した今では、昔の自分のような「真面目人間」に対しては、息苦しさというか、居心地の悪さを覚えるようになりました。

こんなことを言うと、「あがり症を治すためには、不真面目な人間にならないといけないの?」と、あなたは思うでしょう。

「不真面目な人間」というと、社会の落ちこぼれ、社会不適合者のようなダーティーなイメージですよね。

あがり症を治すために、ムリして不真面目な人間になる必要はありません。

あがり症を治した今の私も、もちろん不真面目な人間ではありません。

きちんと社会のルールやモラルを守る、真面目人間です。

では、今の私はどういう人間になったかというと、「真面目」を他人に対して押し付けない、他人の「不真面目」に対して寛容な姿勢を見せる、「真面目」人間になったのです。

これはどういうことかというと、「真面目」であることは私にとってスタンダードではあるけれど、私のように真面目でいられない、不真面目な人を断罪しなくなった、ということです。

昔の私なら、「世の中の人全てが、私のような真面目人間であるべきだ!不真面目な人間なんて、この世に存在することが許せない!」と、一人で怒っていました。

私は神様でも何でもないのに、勝手に私の価値観を一人で振りかざして、一人で怒っていたのです。

しかし、この偏った考えそのものが、あがり症を発症させていた原因の一つでした。

あがり症の人が「真面目人間」になった理由

そもそも、なぜあがり症になる人は、「真面目」「完璧主義」「優等生」キャラが多いのでしょうか?

その理由は、あがり症になる人は「真面目」「完璧主義」「優等生」キャラでいることが自分の価値を上げてくれると思いこんでいるからです。

あがり症に悩む人をカウンセリングしていると、私はある特徴に気が付きました。

その特徴は、「子供の頃、ありのままの自分を受け入れてもらえる環境になかった」ことです。

たとえば、親が教育や躾に厳しく、始終ガミガミとダメ出ししたり、1から10まで命令したりと、甘えさせてくれる環境ではなかったりとか、幼い頃に両親が離婚して父親に引き取られてしまい、母親に甘えたくても甘えられる環境ではなかったり、親が仕事で忙しく不在がちで、甘えられる環境ではなかったことです。

このように、「安心して素のままの自分を受け入れてもらえる環境」とは縁遠い環境で子どもが育つと、自分の弱みを見せられなくなります。

本来であれば、子どもは安心して自分の弱みを親に対して見せることができます。

子どもが安心して自分の弱みを見せることができる理由は、親が子どもの弱みを全て受け入れてくれるからです。

たとえば、子どもが学校で友達との付き合いが上手くいかなくて落ち込んでいるときとか、テストの点が非常に悪くてガッカリしているときでも、それを黙って受け入れてくれる親だったら、子どもは自分の失敗を引け目に思うことはありません。

このように自分の弱さを親から受け入れてもらった子どもは、成長しても他人に対して自分の弱みを見せることに抵抗を感じません。

むしろ、あっけらかんと自分の弱みを告白します。

なぜなら、自分の中に弱い部分があることを恥ずかしいことだとも、悪いことだとも思っていないからです。

このように親から自分の弱みを受け入れてもらった子どもは、とても幸運であると言えます。

このような子どもは、失敗することを悪いことだとは思っていません。

そのため、大人になると、自由に伸び伸びと、自分のやりたいことにチャレンジします。

たとえ失敗しても、そのことで自分の価値が下がるとは思っていないので、「ドンマイ!」と、成功するまでチャレンジし続けます。

一代で財を築いた起業家は、こういうタイプの人が多いです。

一方で、子どもが何かの失敗をすると、烈火のごとく怒り、いつまでもクドクド、ネチネチと子どもの失敗を責め立てる親もいます。

このような親のもとで育てられた子どもは、「失敗することは、いけないことだ」「いつも完璧でなければいけない」と思いこむようになります。

その結果、自分の弱みを人に見せることを怖れるようになります。

また、ちょっとした失敗でも、ひどく落ち込み、何日もクヨクヨします。

あるいは、「失敗して、それをガミガミと怒られるくらいなら、何もしない方がマシだ」と考えて、引きこもりかニートになります。

あがり症の人にとって、「真面目」「完璧主義」「優等生」は、親から愛されるための「キャラ設定」であり、「コスチューム」なのです。

あがり症の人の「真面目人間」というキャラ設定

コミックマーケット(=コミケ)では、参加者が思い思いのアニメキャラやマンガキャラのコスチュームで装います。

ピンクやブルーのヘアウィッグを被り、手作りのコスチュームを着て、お気に入りの「アニメキャラ」「マンガキャラ」になりきります。

しかし、コミケが終わり、日常生活に戻ったら、コスチュームは脱ぎます。

コミケの参加者にとってのコスチュームは、「コミケに参加するときだけ、非日常を演出してくれるもの、別人格になりきるためのもの」と割り切っています。

会社に出社するときや学校に登校するときに、ピンクやブルーのヘアウィッグをつけてアニメキャラやマンガキャラになりきる人はいません。

このように、コミケに参加してアニメキャラやマンガキャラになりきる人は「普段のキャラ」と「コミケ用のキャラ」を区別している自覚があります。

しかし、あがり症になる人は、「真面目」「完璧主義」「優等生」キャラこそが自分の本当のキャラだと信じて疑いません。

本当は、愛されるために身に付けたキャラなのに、そのキャラをどうやって外せばいいのかが分からなくなってしまうのです。

いつの間にか、本当の自分、ありのままの自分は消え失せてしまい、「真面目人間」というキャラが独り歩きしてしまいます。

このような人が「たくさんの人が注目する場」でスピーチしたり、プレゼンしたり、歌や楽器の演奏をしたりすることは、とてつもないプレッシャーとなります。

スピーチやプレゼン、歌や楽器演奏が毎回成功すればそれでもいいですが、人間ですから失敗はつきものです。

そして、そのプレッシャーがマックスになると、「親から愛されるためのコスチュームが壊れてしまう!」という恐怖を感じてあがり症を発症してしまうのです。

ひどいあがり症で苦しんでいた昔の私も、「真面目」「完璧主義」「優等生」のコスチュームをがっちりと身に付けていました。

几帳面で堅苦しい真面目人間でいることが、自分の価値を高めてくれる唯一の手段だと思いこんでいたのです。

そのため、発表会であがって失敗すると、その後1週間くらいはクヨクヨと落ち込んでいました。

そして、自分の不甲斐なさを「また、あがって失敗してしまった・・・」と、責め立てていました。

こうした虚しい行為を、自力で開発した心理療法であがり症の原因を突き止め、あがり症を改善するまで、7年間も繰り返していました。

あがり症の原因の一つが「いつも完璧でなければいけない」という思い込みだと知った私は、独自に開発した心理療法でこの思い込みを外しました。

「いつも完璧でなければいけない」という思い込みを外して初めて、私は「真面目人間」という仮面を被っていただけだった、ということに気が付きました。

そして、失敗を怖れることが無くなりました。

失敗を恐れなくなることで、あがらなくなりました。

自分の価値観が変わることで、不真面目な人に対して怒ることもなくなりました。

「人は人、自分は自分」という当たり前の価値観を、ようやく身に付けることができるようになったのです。

あがり症の人が「真面目人間」キャラを捨てるとき

私のクライアントで、あがり症治療のために催眠療法、話し方教室、情報教材と、ありとあらゆる方法に100万円近くも投資した、という人がいました。

しかし、それだけの大金をかけても、そのクライアントのあがり症は全く改善しませんでした。

あがり症のために100万円近くも投資するなんて、そんなムダ使いは考えられないと思う人もいることでしょう。

しかし、あがり症になる人の「真面目」「完璧主義」「優等生」キャラを考えると、100万円の投資は、その人にとっては決して高くはありません。

なぜなら、「完璧主義」のあがり症の人にとっては、「あがり症の自分」が許せなくて、イヤでたまらないからです。

どんなに高額な治療法であっても、あがり症を改善してくれるのなら、出費は惜しくはないのです。

私はカウンセリングで「あがり症を改善するためには、 『ステージであがって失敗しているダメな自分であっても、価値はある』と心から思えるようになることが大事です」とそのクライアントに伝えました。

すると、そのクライアントは「あがり症の自分がイヤで許せないのに、まずはそのダメな自分を受け入れなさい」と言われたことにショックを受けていました。

しかし、なぜ自分があがり症になったのか、その原因を順を追って説明すると、深く納得してくれました。

そして、治療が進むにつれ、「今まで、愛されたくて必死で重荷を背負っていただけなんだ」と、理解します。

やがて、「ダメな自分」を愛せるようになることで、クライアントはあがり症から解放されていきます。

もし、あなたが「真面目」「完璧主義」「優等生」キャラを誇りに思っているのなら、まずはそのキャラが重荷になっていないかどうか、自問自答してくださいね。

もし、「ときどき、自分でもこのキャラに息苦しさを感じる」のなら、あなたはもう「心の重荷」を取り除くときが来ています。

「『真面目』『完璧主義』『優等生』キャラが息苦しくてたまりません・・・」

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