フォーカル・ジストニアの原因である「抑圧された怒り」

フォーカル・ジストニアの原因である「抑圧された怒り」

フォーカル・ジストニアのクライアントー「怒り」を抑圧した人達

フォーカル・ジストニアに悩むクライアントをカウンセリングしているうち、ある「共通点」に気が付きました。

それは、過去に「怒りを抑圧してしまったこと」です。

しかも、厄介なことに「怒りを抑圧したことを抑圧している」ので、怒っていることに気が付いていないのです。

なぜ、私がそのことに気が付いたかと言うと、クライアントの行動と発言が矛盾しているからです。

つまり、「本当に怒っていないなら、こんな行動はとらない」ことを無意識のうちにしているので、カウンセリング中「アレ?さっき言ったことと矛盾してない?」と気が付くのです。

そこで、「クライアントは、まだ怒っている」ことを前提として考えると、その行動がしっくりくるのです。

たとえば、あるクライアントは、「私は、両親ととても仲良しで、感謝しています」と仰いました。

しかし、その直後に「親からたまに電話がかかってくるのが、苦痛で堪りません」等と、辻褄の合わないことを言うのです。

なぜ、このように辻褄が合わないことを言うかというと、「親を嫌っていることを認めると、自分の価値がさらに下がるような気がするから」です。

一般的に「親に感謝しています」「私が育った家庭は、家族全員が仲良しです」という人は「育ちがよくて、性格がいいんだろう」と、好感を持たれます。

しかし、その逆に「私は、両親を憎んでいます」「私が育った家庭は、家族全員仲が悪く、お互いに嫌い合っていました」という人は、人から「問題のある家庭で育った人は、性格に難があるに違いない」と、人から距離を置かれてしまいます。

人から距離を置かれることを怖れている人は、自分が育った家庭に問題があることを意地でも認めようとはしません。

その為に、言葉と行動がチグハグになるという珍現象が起こるのです。

こういうことが何度か続いたので、「私は、両親に感謝しています」と主張するクライアントほど、その言葉の真意を疑うようになりました。

「両親に感謝しています」と主張する度合いと、その実は「両親を心底憎んでいます」という怒りの度合いは、全く同じである場合が多いです。

フォーカル・ジストニアの原因ーノルアドレナリン説

私は、フォーカル・ジストニアの原因は「怒りを抑圧したことによって生じたストレスによる、ノルアドレナリンの過剰分泌」だと思います。

よく、「病気の原因はストレスである」と言いますが、その肝心な「ストレス」の正体が何なのか、分かっていない人がほとんどだと思います。

「ストレス」の正体は、「不快な感情を抑圧したこと」です。

人は、怒りや悲しみなどの不快な感情を抱いたとき、それらの感情を持ち続けることが不快なので、一旦はそれらの感情を潜在意識に抑圧します。

しかし、ただ潜在意識の倉庫に一時保管しただけなので、きちんと処理してあげない限り、いつまでも潜在意識の倉庫に保管され続けます。

そして、何かの拍子に不快な感情が甦ると、急に襲ってきた不快な感情に自分でもどうやって対処したらいいのか分からず、イライラしたり、クヨクヨしたり、オドオドしたり、ビクビクしたりします。

これらの「イライラ」「クヨクヨ」「オドオド」「ビクビク」といった不快な感情こそが、「ストレス」の正体なのです。

そして、この「ストレス」は、人間にとってのある「恐怖」と結びついています。

人間にとって1番の恐怖は、もちろん「死」への恐怖です。

しかし、哺乳類である私たち人間にとって「死」と同等の恐怖は、「お母さんやお父さんから愛されていないこと」です。

なぜなら、「両親が子どもである自分を愛してくれないと、死んでしまうから」です。

産まれてすぐの赤ちゃんは、もちろん自分で自分の面倒をみることはできません。

自立して自分で稼げるようになるまで、長い間両親に自分の面倒をみてもらわないと人間は生きてはいけないのです。

「親が私を愛してくれないと、私は死んでしまう」という恐怖は、おそらく人間の本能としてインプットされた恐怖なのでしょう。

フォーカル・ジストニアを発症する音楽家は、「両親に対する怒りを抑圧している」と、書きました。

この「怒り」は、実は「子どもの頃にありのままの自分を愛してくれなかった両親への怒り」でもあります。

裏を返せば、「両親は、本当は私を愛していないのではないか?」という、人間にとっての本能に基づく恐怖へと結びつくのです。

「両親は、本当は私を愛していないのではないか?」という恐怖に向き合わされることは、人間にとって凄まじいストレスとなります。

一口に「ストレス」と言っても、それが自分の生死に関わることであれば、人体に与える影響もはかり知れません。

この「ストレス」を感じたときに、副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリンが分泌されます。

「『どうしよう。どうしたらいいんだ!』。危険な状態がピークを超えて、本当に『死』を意識する瞬間、人間は強烈な『恐怖』を感じ筋肉が硬直します。ノルアドレナリンの分泌が増えると、『緊張』から『不安』へ。さらに『恐怖』へとエスカレートしていきます。そして、『強い不安』や『恐怖』を感じる状態では、大量のノルアドレナリン、さらにアドレナリンも分泌されていると考えられます。」

「本来、判断力を高め、瞬発力を高めるはずのノルアドレナリンですが、大量に分泌されると機能異常を起こしてしまうのです。筋肉への血流が増えすぎると、筋肉は緊張しすぎて体がこわばり足もすくみます。『頭が真っ白になる』というのも、ノルアドレナリンが出すぎたときの兆候と考えられます。

出典:「恐怖で足がすくむ理由」アゴラ

ここからは私の推測ですが、ストレスによってノルアドレナリンが過剰分泌されたことで筋肉への血流が増えすぎて、筋肉が緊張し過ぎることでフォーカル・ジストニアを発症したのではないか?と考えています。

フォーカル・ジストニアの治療ー「抑圧された怒り」を癒す

したがって、フォーカル・ジストニアを治療するためには、まずクライアントが「本当は、両親を憎んでいる」ことを認めてもらうことから始めなければいけません。

これは、とても厄介な治療になります。

なにしろ「私は怒ってなんかいません!」と、プリプリ怒っている人を説得しなければいけないのですから。

カウンセリングは水掛け論や押し問答の場ではないので、こういうときは一旦引くことにします。

やがて、クライアント自身が落ち着きを取り戻した頃を見計らって、お話することにしています。

「あなたは先ほど『両親に感謝しています』と仰っていましたが、本当に感謝しているのなら、そうした行動は矛盾していませんか?」とお尋ねします。

すると、渋々ながら自分の発言と行動との矛盾に気が付くようになるのです。

あがり症もフォーカル・ジストニアも、治療そのものは非常に単純で簡単です。

ただ、ひたすらに原因となった過去の出来事から受けた心の傷を癒していけばいいだけのことですから。

1番難しいのは、こういう「怒りを抑圧したことを抑圧している」クライアントに、「あなたは本当は怒っていたんですよ」と説得しなければいけないプロセスです。

しかし、クライアントが「癒されたい」「完全に指が動くようになりたい」という意志さえあれば、やがて乗り越えることができるでしょう。

そこからが、本当の意味での治療のスタートになります。

個人差はありますが、治療を開始してから3、4年で指が普通に動くようになるでしょう。

「元通り、自由に指が動くようになりたい」

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