ピアニストKさんのフォーカル・ジストニア治療記録

2019年9月22日

ある春の日、ピアニストのKさんは自室で練習中、左手の人差し指に違和感を覚えたそうです。

「おかしいな?」と思いながらも、その症状はどんどんひどくなりました。

そして、その年の夏には、左手の人差し指はどんどん内側に曲がってしまいました。

今では、人差し指に加えて、左手の親指までもが、内側に曲がるようになってしまったそうです。

 

困り果てたKさんは、私のブログを読んで「これだ!」と確信を覚えたそうです。

私はKさんに、「ジストニア発症時に、何かいつもと変わったことがあったり、強いストレスがかかるようなことがあったりしませんでしたか?」と尋ねました。

すると、Kさんは原因と思われるようなことを話してくださいました。

 

Kさんは、元々は関西地方のご出身でした。

ところが、ご家族の転勤に伴い、東京へと引っ越すことになり、なかなか「東京の空気」になじめなかったそうです。

そして、Kさんが所属している音楽教室でコンクールの審査員を任せられることになり、その関係で強いプレッシャーを感じるようになったということでした。

 

関西と東京では、話し言葉、食べ物の味付け、人との接し方など、「文化の違い」と呼べるものが数多くあります。

引っ越したばかりでは、そういった文化の違いに戸惑うこともあります。

でも、やがてその土地の文化になじみ、徐々に同化していくものです。

 

しかし、Kさんが東京へ転居してきたのは、今から7年も前のことでした。

引っ越したばかりで「東京の空気になじめない」というのは分かります。

でも、7年も経ったのに東京になじめない、というのは少し首を傾げるものがあります。

 

Kさんのように、環境の変化に弱く、ストレスを受けやすい人は、自分を肯定できていない傾向があります。

自分を肯定できている人は、「人との違い」「文化の違い」を、むしろ積極的に楽しむところがあります。

「自分と他人は違って当たり前。違うからこそ面白い」と考えている人は、海外一人旅や地方の山間部への移住なども楽しめてしまいます。

 

ところが、自分を肯定できていない人は、他人の中に自分と違う部分を見つけると、自分を否定されているような気がしてしまい、落ち着かなくなってしまうのです。

そこで、私はKさんがなぜ自分を肯定できなくなってしまったのか、原因を探ることにしました。

 

Kさんは、複雑な家庭で育った過去がありました。

ご両親が仲が悪く、しょっちゅう子供たちの目の前で夫婦喧嘩をしていました。

そして、ときに父親から暴力を振るわれるようなこともあったそうです。

 

このような家庭で育つと、子どもはいつも脅えて暮らすことになります。

親から暴力を振るわれたり、否定されるような言葉を投げつけられたりすると、子どもは「ありのままの自分でいてはいけない」と思い込むようになります。

そして、いつもいわれのない劣等感や疎外感、自己否定感に苦しむことになります。

 

そこで、私はKさんが子供の頃に暴力や暴言で受けた心の傷を癒すことにしました。

また、Kさんには何かと自分と他人を比較して、自分を卑下する傾向が見られました。

そのために、必要以上にプレッシャーを感じていたようでした。

 

いつも他人と自分を比較し、自分を否定していては、落ち込むばかりです。

Kさんには、「他人は他人、私は私」という新しい価値観を植え付けてもらうことにしました。

 

セッションが終わって3日後、Kさんから慌てた様子で「症状が悪化した」というメールがありました。

セッションでは、「セッションの翌日~3週間以内に指は動くようになります」とお伝えしてあります。

セラピーの結果、内面が変化するようになり、それにつれて指は動くようになります。

 

フォーカル・ジストニアの治療には、このように「内面の変化→症状の改善」というルールがあるのですが、Kさんは先を急ぐあまり、症状が悪化してしまいました。

Kさんの「焦り」は「このまま、指が動かなくなったらどうしよう?」という恐怖から来ていました。

脳は「恐怖」を感じ取ると、異常な身体症状を起こさせます。

したがって、結果を焦ったあまり、Kさんの症状はどんどん悪化してしまったのです。

 

私は、Kさんに「まず、その『焦り』そのものをセラピーで癒してください」とアドバイスし、少し様子を見ることにしました。

 

 

「焦れば焦るほど、指が曲がるようになりました」

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