あがり症と社会不安障害

あがり症と社会不安障害

あがり症と社会不安障害
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ひどいあがり症・発声時頸部ジストニアを自力で開発した心理療法で克服した心理カウンセラーの川畑律子です。

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社会不安障害(社交不安障害)という言葉が、最近ではよく知られるようになりました。

新聞広告やネット広告等で、製薬会社が社会不安障害のキャンペーンを展開しているのを目にされた方もいることでしょう。

あがり症と社会不安障害は共通している部分もありますが、根本的な違いは「対人恐怖症があるか否か」だと思います。

あがり症で悩んでいる方で、「私って、社会不安障害なの?」と疑問に思ったり、不安になったりする方もいることと思います。

そこで、あがり症と社会不安障害の特徴についてそれぞれ考察してみたいと思います。

社会不安障害の主な症状

あがり症と社会不安障害

 

社会不安障害の主な症状は以下のとおりです。

  • 他人の視線が怖い
  • 人前で話すと極度に緊張する
  • 人前で食事ができない
  • 人前で文字を書くと、手がブルブル震える
  • オフィスで電話に出るのが怖い
  • 名刺交換をするとき緊張する
  • お客様にお茶を出すとき緊張する
  • 一対一になるのが怖い
  • 初対面の相手と接する時にガチガチに緊張する
  • 「顔見知り」程度の集まりが緊張する
  • 上司との会話が極端に緊張する
  • 公衆トイレで近くに人がいると排尿できなくなる
  • 緊張すると、赤面、吐き気、震え、口の渇き、動悸、息苦しさ、発汗、こわばり、めまい等の症状に襲われる

あがり症の主な症状

あがり症と社会不安障害

あがり症の主な症状には、以下のものがあります。

  • 手足の震え
  • 心臓の激しい動悸
  • 大量の発汗
  • しっかり覚えたはずの楽譜やスピーチをキレイにど忘れ
  • 殺されそうな強い不安感や恐怖感
  • 声がかすれたり、裏返ったりする

 

あがり症の私たちは、人前でスピーチしたり、楽器の演奏をしたり、集団面接等で自己アピールしたりするときに、これらの症状が現れます。

このことだけを考えると、あがり症と社会不安障害はほぼ同様の症状に思われます。

あがり症と社会不安障害の違い

あがり症と社会不安障害

あがり症の人でも、初対面の人と接するときに緊張しない等、他人とのコミュニケーションに何ら支障の無い人もいます。

私もひどいあがり症でしたが、お店でたくさんの人がいる中で食事もできますし、公衆トイレも抵抗なく使えますし、上司との会話も全く問題ありませんでした。

あがり症と社会不安障害の違いは、根っこに「対人恐怖症があるか否か」だと思います。

ステージに上がると緊張してボロボロになってしまう人でも、普段の生活では友達も多く、問題なく社会生活を営むことができる人は、「社会不安障害ではなく、あがり恐怖症を原因とするあがり症」で間違いないと思います。

関連記事:「よくわかる!あがり症の心理的原因と克服法」

これに対し、社会生活を営むのにも困難を覚え、友人も少なく、対人関係でも常に問題を抱えている人は社会不安障害の疑いがあります。

そして、このような場合は、社会不安障害というより、「対人恐怖症」という言葉の方がしっくり来ると思います。

社会不安障害の原因

あがり症と社会不安障害
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 社会不安障害でも対人恐怖症でも、必ず原因があります。

たとえば、両親から精神的・肉体的に虐待を受けていたり、子ども時代にいじめにあったり、教師から体罰を受けたり、信用していた友人から裏切られたりしたことです。

これらのことが原因で、他人を信じられなくなったり、自分のことが好きになれなくなったりします。

 自分を好きではなく、他人も信用していないのですから、「周囲の人は敵だらけ」と考えています。

ですから、初対面の人が怖くなったり、一対一で人と接するのが怖いのです。

 また、人間も動物の一種ですから、食事や排せつなどの無防備にならざるを得ない場面では、自分の身を守るために周囲を警戒しなければなりません。

 みなさんの中で、お家でネコや犬を飼っている方もいることでしょう。

エサを食べているときの彼らを観察してください。

人間がうっかり近づこうものなら、ビックリして逃げたり、怒って威嚇したりするペットもいます。

 

つまり、社会不安障害の一つである会食不安や排尿恐怖は、人間がおサルさんだったときの名残と考えればいいでしょう。

自分を好きで、他人を信用している人は、食事や排せつの場面で必要以上に他人を警戒しません。

ですから、社会不安障害でない人はレストランの食事や公衆トイレに抵抗が無いのです。

会食恐怖の原因

会食恐怖と社会不安障害

会食恐怖は、小学校時代の学校生活において何らかのトラウマを抱いた可能性も考えられます。

私が通っていた小・中学校は給食でした。

給食では、好き嫌いの多い子、食べるのが遅い子、小食の子、人よりもたくさん食べる子がいます。

家庭でのしつけやその子の好みの問題、体質により、同年齢でも子どもによって食事の量やスタイルはバラバラです。

そんなとき、好き嫌いの多い子や食べるのが遅い子、小食の子は、みんなが給食を食べ終わっても、片付けることを先生が許さず、完食するまで教室に残される子がいます。

今では、このようなことを先生がしたらすぐに問題になりますが、私が子どもの頃は、このようなスパルタ教育をする先生は珍しくはありませんでした。

みんなが給食を食べ終わって校庭で遊んでいるのに、1人ぽつんと教室で取り残されて給食を食べさせられるみじめさや恥ずかしさ、辛さや屈辱を考えると、それがトラウマになって会食恐怖を発症したことも考えられます。

排尿恐怖の原因

排尿恐怖と社会不安障害

低学年の子どもがトイレに行くチャンスを逃してお漏らしをしてしまったり、高学年の子どもでも授業中にトイレに行きたくなって先生に願い出たら、それをクラスのみんなから冷やかされたりバカにされたりすることがあります。

これらのことが排尿恐怖の原因になることも考えられます。

男の子で可哀そうだな、と思うのが、排便用のトイレの個室に入ることを他の男の子から冷やかされることです。

自然現象である排尿や排便をバカにしたり冷やかしたりすることは子どもにありがちな行為ですが、バカにされた方は子ども心が大いに傷つきます。

 それがトラウマになって、排尿恐怖を発症したことも考えられます。

社会不安障害の治療

社会不安障害の治療
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社会不安障害を治すには、自分を嫌いになった原因と他人が怖くなった原因を癒すことです。

自分を好きになれば、他人を必要以上に警戒しなくなります。

また、学校給食やトイレにトラウマがある人は、そのトラウマを心理療法で癒すことです。

そうすれば、会食不安や排尿恐怖も治ります。

まとめ

この世で生きていく以上、対人関係の問題は避けて通れません。

子どもの頃のトラウマが原因で他人が怖くなってしまったら、社会で生きていくことの辛さは耐え難いものでしょう。

対人恐怖症の原因を探り、それを心理療法とカウンセリングで癒せば、必要以上に他人を恐れなくなります。

他人と自分との「ちょうどいい距離」を保てるようになり、その中で自分に合う人、自分と縁がある人と仲を深めていけるようになります。

いつの間にか、「社交上手」「顔が広い」「気さくな人」という評価を得られるようになりますよ。

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