あがり症の薬ーβブロッカー

あがり症の薬―βブロッカー

あがり症の薬ーβブロッカー
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ひどいあがり症・発声時頸部ジストニアを自力で開発した心理療法で克服した心理カウンセラーの川畑律子です。

「note」で「あがり症の治し方」を販売しています。

ご自身があがり症だと発覚したとき、人によっては心療内科を受診して医師と相談することでしょう。

医師は患者の症状により、抗不安薬やβブロッカー系のお薬を処方します。

βブロッカー系の薬は、あがり症の不快な身体症状を抑制する働きのある薬です。

あがり症で悩まれている人で、最もお困りなのが以下のような不快な身体症状の数々でしょう。

  1. 手足がガクガクブルブル震える
  2. 心臓が割れそうなほどにバクバクする
  3. 全身から大量の発汗をする
  4. 頭が真っ白になる
  5. 声が上ずってひっくり返る

これらの不快な身体症状は、アドレナリンの作用により、交感神経の働きが活発になることによるものと考えられています。

そこで、βブロッカーによって交感神経の働きを鎮めることで、これらの不快な身体症状をなくします。

βブロッカーの副作用

あがり症の薬ーβブロッカー
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βブロッカーの副作用は、以下が報告されています。

  1. 心不全、心ブロック、高度な徐脈..息苦しい、胸が苦しい、動悸、疲れやすい、むくみ、急な体重増加、脈が飛ぶ、脈が1分間50以下、めまい、気が遠くなる、失神。
  2. 喘息発作の誘発..咳き込む、ゼーゼー・ヒューヒュー息をする、息苦しい。
  3. 血小板減少症..鼻血、歯肉出血、血尿、皮下出血(血豆・青あざ)、血が止まりにくい。

薬なので副作用があるのは仕方ないことですが、こんなにたくさんの副作用があると、心配になってしまいますよね。

あがり症と自律神経の働き

あがり症の薬ーβブロッカー

私たちの身体は、自律神経が内臓や代謝、体温調節などを24時間コントロールしています。

自律神経は、副交感神経と交感神経の2つに分けられます。

副交感神経は日が沈んで自宅でリラックスモードのときに優位になり、交感神経は日中アクティブに活動するときに優位になります。

これらの交感神経と副交感神経がそれぞれバランス良く働くことで、人間の身体をコントロールします。

自律神経のバランスが乱れるのは唯一、ストレスがかかったときのみです。

なぜなら、人間がストレスに直面したとき、素早く体を非常事態に備えさせるために、交感神経を優位にしなければいけないからです。

たとえば、敵に襲われたときに副交感神経が優位になってリラックスモードになっていたら、ひとたまりもありません。

そういうときは、非常事態に備えるために交感神経が優位になり、身体をアクティブモードにして「逃走か闘争」に備えます。

あがり症の人は全身から大量の発汗をしたり、心臓が激しくバクバクしたり、手足がガクガクブルブル震えたりします。

この時の身体は、発表会やプレゼン、スピーチなどの「非常事態」に備えるために、アクティブモードになっています。

でも、皆さんにしてみたら、自分の身体の突然の変化に戸惑うばかりだと思います。

驚くと同時に、「なんで、自分が突然こんな目に遭わなきゃいけないんだ?」と思ったのではないでしょうか?

その理由は、あなたが発表会やプレゼン、スピーチなどの「たくさんの知らない人から一身に見つめられる場」に立ったことを、あなたの脳が「脅威だ」「非常事態だ」「逃走か闘争しなければならない!」と判断したからです。

あなたの脳は、あなたが発表会やプレゼン、スピーチ、会議などの「たくさんの人から注目される場所」に立って、歌を歌ったり、楽器の演奏をしたり、自分の意見を述べることを「自分の価値が無くなってしまう恐れがある」と判断します。

そして、その恐怖を脳の扁桃体という部位がキャッチすると、全身に向けて「そこから逃げろ!」という指令を下します。

その警告を受け取った視床下部からは、副腎皮質刺激ホルモン(CRH)が分泌されます。

その後、副腎髄質からアドレナリンとノルアドレナリンが分泌されます。

アドレナリンの作用で交感神経が優位になると、あがり症のあらゆる諸症状が起こります。 

私はあがり症の原因を知らなかったとき、「なんで、私だけがこんな目に・・・」と、あがり症の症状を恨めしく思っていました。

でも、私の脳の立場からすると、「たくさんの人から注目される発表会で歌を歌うなんて。失敗したら、価値が無くなってしまう。そうならないために、この場からすぐさま逃げ出さなくていけない!」と考えていたようです。

あがり症の諸症状を治すために必要なこと

あがり症の薬ーβ遮断薬

よく言えば、あなたの脳は「お節介焼き」であがり症の症状を起こしている訳です。

したがって、あなたの手足の震えを治すためには、あなたの脳が「発表会やプレゼン、スピーチ、会議などたくさんの人から注目される場」にあなたが立つことは「自分の価値が無くならない」「危険ではない」「安全だ」という認識をさせなければいけません。

そうすれば、あなたのあがり症の諸症状は日を追うごとに改善されていきます。

私や、クライアントもそうでしたが、治療を開始してから半年~1年ほどで手足の震えがピタリと止まります。

そして、2~3年後には不安や恐怖も消えてなくなります。

治療を開始してから3~4年後には、むしろ人前に立つことが楽しみになっていることでしょう。

まとめ

突然に私たちを襲うかのように思われるあがり症の諸症状ですが、実は非常事態に備えるために交感神経が優位になった結果だということはご理解頂けたでしょうか。

あがり症の身体的症状の数々を止めるには、βブロッカーを医師から処方してもらうことも一つの手段です。

でも、同時に副作用も覚悟しなければいけないし、発表会やプレゼンがある度に服用しなければいけません。

どうせなら、時間はかかるけれど、腰を据えてじっくりとあがり症を治していきたいものですよね。

「βブロッカーには頼りたくない!」と思った方は、コチラからお問い合わせくださいね。