よくわかる!あがり症の心理的原因と克服法

「頑張って場数を踏んでいるのに、なんであがり症がちっとも治らないんだろう?」って思ったことはありませんか?
いくら場数を踏んでもあがり症が治らない理由・・・それは、あがり症の原因が①視線恐怖症②対人恐怖症③失敗恐怖症④あがり恐怖症の4つだからです。
当然ながら、恐怖症は場数を踏んでも治りません。恐怖症を治すには、従来の方法とは全く違う心理療法が必要です。
自分があがり症だと分かったとき、自分で試す治療法の筆頭に挙げられるのが、「場数を踏んで治す」方法だと思います。
そういう私も、自分がひどいあがり症だと発覚したとき、せっせと場数を踏んであがり症を治そうとしました。
年に一回の発表会はもちろん、飛び入り参加できるステージで歌ったり、素人でも参加できるコンクールに出場してみたり・・・。
ところが、「場数を踏めばあがり症が良くなる」はずなのに、実際のところは場数を踏めば踏むほど悪化していきました。
「いったい、あがり症の原因って何なの?」「どうすれば、あがり症は治るの?」と、ある時むなしい努力の果てに力尽きました。
しかし、むなしさの後に底打ちした私は「負けてたまるか!」と、生来の負けず嫌いに火がつきました。
そこで、「こうなったら、自分で何とかする!」と一念発起し、手当たり次第に心理学の本や脳科学の本を読み漁りました。
その結果、あがり症の原因が以下に解説するように4つの恐怖症と脳科学的メカニズムだとわかったのです。
目次
この記事は、
- 場数を踏むことおよそ7年!
- 自力で心理療法を開発、あがり症を克服する。
- 心理療法について本を2冊出版。
- 大学で心理学を学ぶ。
- 心理カウンセラーである私川畑律子
が、あがり症の原因と治療法について徹底解説します。
本記事を最後まで読んだら、あがり症の原因と克服法について深く納得できるようになります。
「いくら場数を踏んでも、ちっともあがり症が治らない」と悩んでいる方は、ご参考にして下さいね。
あがり症の原因ー①視線恐怖症

発表会やプレゼン、スピーチなどで、「観客の視線が怖い」と思ったことはありませんか?もしそうなら、あなたには視線恐怖症の傾向があるかも知れません。
よく、「目は口程に物を言う」と言います。「目」自体は話すことはありません。しかし、「目」がその人の意思を表しているかのように受け取られることがあります。
たとえば、「敵視」なら相手から敵だと思われているように感じるし、「蔑視」なら相手から侮辱されているように感じます。
その反対に、アイドルやスター歌手はファンから「憧れの目」で見られるし、ノーベル賞を受賞した学者は世間から「尊敬の眼差し」で見られます。
視線恐怖症の人は、相手の視線が自分を憎んでいるかのように感じてしまい、恐怖を覚えます。現実的に考えると、見ず知らずの他人から憎しみの目を向けられることはあり得ません。
しかし、視線恐怖症の人は不合理だとは分かっていても恐怖を覚えてしまいます。
あがり症の人は、発表会やプレゼンでたくさんの知らない人達を前にします。そのとき、彼らから一身に見詰められることになります。
あがり症になる人は、たくさんの観客の視線に恐怖を感じてあがってしまいます。
視線恐怖症の原因
視線恐怖症の原因は、
- 「たくさんの人が見守る場面」で、何か嫌な体験をしたこと
が考えられます。
私の場合は、小学1年生の頃に突然見ず知らずの上級生女子2人組から因縁をつけられたことが原因でした。
下校途中に突然因縁をつけてきた上級生女子2人組の視線が、観客が私を見つめる目とオーバーラップしたようです。
その他にも、小学4年生の頃にクラスのみんなが見ている前で担任教師から暴力を振るわれたことも原因でした。クラスのみんなが固唾を飲んで暴行場面を見つめる目と、観客の目がオーバーラップしたようです。
あがり症の原因ー②対人恐怖症

発表会で、たくさんの知らない人たちから囲まれることを考えたとき、圧倒されそうな恐怖を感じることはありませんか?もしそうなら、あなたには対人恐怖症の傾向があるかも知れません。
家族や気心知れた友人は平気だけど、見ず知らずの他人が怖いという人がいます。
そのため、一歩外に出ると他人だらけで怖くなってしまい、家に引きこもりがちになってしまいます。
そして、できる限り他人との交流を避けます。
対人恐怖症の人は、「他人は私を傷つけるに決まっている」と考えています。
冷静に考えれば、見ず知らずの他人がいきなり攻撃してくることはあり得ません。
広い世界にはそのような恐ろしい国もあるかもしれませんが、平和な日本で普通に生活している分には、その心配はほとんどありません。
ところが、発表会やプレゼンは、「たくさんの知らない他人」に囲まれる場です。
そのような状況に置かれると、たくさんの知らない他人に囲まれることに恐怖を感じてあがってしまいます。
対人恐怖症の原因
対人恐怖症の原因は、以下のことが考えられます。
- いじめ
- 見ず知らずの他人からの突然の攻撃
- 担任教師からの暴力や暴言
- 両親からの精神的・肉体的虐待
- 信じていた友人からの裏切り
私の場合は、やはり担任教師からの暴力や暴言が1番の原因だったように思います。宿題を提出しなかった私に担任教師が激高し、私の髪の毛をつかんで教壇を引きずり回しました。
そのときのこころの傷が原因で、「他人は何をするか分からなくて怖い」と思い込むようになりました。
その他にも、小学生時代に仲良くしていた子の友達から突然呼び出され、「私の○○ちゃんと仲良くしないで!」と文句を言われたことも原因でした。
誰と仲良くしようが自由だと思うのですが、不可解な言いがかりをつけられたことで「他人は怖い」と思うようになりました。
あがり症の原因ー③失敗恐怖症

あなたは、日常生活で何かの失敗をすると、何日もクヨクヨと落ち込むことはありませんか?もしそうなら、あなたには失敗恐怖症の傾向があります。
失敗恐怖症とは、「失敗することを恐れること」です。
失敗することは誰でも嫌なことだと思いますし、できれば避けたいものです。
でも、この世に失敗したことが無い人なんて1人もいません。
みんな、日常的に大なり小なりの失敗をするし、時には致命的な失敗をすることがあります。
それでも、人は失敗から受けたダメージを受け止めて消化し、やがて乗り越えて生きています。
ところが、失敗恐怖症の人は何かをやる前から「どうせ、失敗するに決まっている」と思い込んでいます。
失敗恐怖症でない人は「ダメもとでやってみよう」と考えてチャレンジします。
しかし、失敗恐怖症の人は「ダメもと」という考えがありません。
なぜかと言うと、失敗恐怖症の人は失敗から受けるダメージを受け止める自信が無いからです。
そのような人にとって1番の方策は「何もしないこと」です。何もしなければ、失敗することもないので失敗から受けるダメージもありません。本当は、「何もチャレンジしないこと」こそが最大の失敗なのですが、失敗恐怖症の人はそこまで頭が回りません。
このような失敗恐怖症の人が発表会やプレゼンの場に間違って立ってしまう時、「どうせ失敗するに決まっている」という恐怖を感じてあがってしまいます。
失敗恐怖症の原因
失敗恐怖症の原因は、
- 音楽の授業でリコーダーを吹きそこなって失敗し、それをクラスのみんなから笑われたこと
- 国語の授業で朗読をつっかえてしまい、それをクラスのみんなから笑われたこと
- 運動会のリレー競技でバトンを受けそこなって転んでしまい、それをクラスのみんなから白い目で見られたこと
- ホームルームで頑張って発言したら思いっきり滑ってしまい、それをクラスのみんなから笑われたこと
- 学芸会でセリフを嚙んでしまい、それを観客から笑われたこと
- 厳しすぎる両親の教育やしつけ
などがあります。
ここでのポイントは、「みんなが見ている前で失敗し、それをクラスのみんなから笑われたり白い目で見られたりして、恥ずかしい思いやみじめな思いをしたこと」です。
そのときの「恥ずかしい思いやみじめな思い」をしたことがトラウマとなり、失敗恐怖症になったことが考えられます。
また、両親が教育やしつけに厳しく、始終ガミガミ怒ってばかりだと、子どもは失敗をひどく恐れるようになります。失敗すると烈火のごとく両親が怒るので、「チャレンジして失敗し、それを怒られるのなら、何もしない方がマシ」と子どもは自分の殻に閉じこもります。
あがり症の原因ー④あがり恐怖症

発表会の前日、「また、あがって失敗したらどうしよう?」という恐怖や不安に押しつぶされそうになることはありませんか?もしそうなら、あなたにはあがり恐怖症の傾向があります。
あがり恐怖症とは、「あがること」そのものを恐れることで、予期不安の一種です。
一度あがってしまって失敗したとしても、次回もあがるとは限らないですよね。ところが、あがり恐怖症の人は「次もあがったら、どうしよう?」という恐怖で頭がいっぱいになってしまいます。
皮肉なことに、その恐怖が引き金になって次回のステージでも見事にあがり症になります。
あがり恐怖症の原因
あがり恐怖症の原因は、これまでにあがって失敗したさまざまな経験の数々です。したがって、そのときに抱いたみじめな思いや恥ずかしい思いを癒していく必要があります。
私の場合は、音楽の授業でリコーダーを吹きそこなって失敗し、それをクラスのみんなから笑われた苦い経験から、大人になってギターや声楽を学び、発表会であがって失敗したたくさんの情けない経験が原因でした。
あがり症の原因ー⑤脳科学的原因

ここまでは、あがり症の原因について解説してきました。ここでは、「なぜ、手足がガクガクブルブル震えるのか?」「なぜ、心臓が口から飛び出しそうなほど激しくドキドキするのか?」「なぜ、大量の汗をかいてしまうのか?」という疑問について、脳科学的な観点でお答えします。
大脳皮質の内側に扁桃体という左右一対の神経集合体があります。
扁桃体の役割は、過去の状況と現在の状況を照らし合わせて「危険か、そうでないか」「快か、不快か」を判断することだと考えられています。
あがり症の人が発表会で「たくさんの知らない人達」に囲まれるとき、扁桃体は素早く過去の状況と現在の状況を照らし合わせます。
そして、過去に「たくさんの知らない人が見ている前で」暴力を振るわれたり、暴言を吐かれたりした人の扁桃体は、現在の状況を「危険だから、直ちに闘争/逃走しなければならない」と判断します。
そして、闘争/逃走に備えるために、身体を作り変えるように指示を出します。
指令を受け取ると、視床下部で制御されている自律神経系のうち交感神経が活発になります。それによりノルアドレナリン放出が促進され、各臓器が臨戦態勢となります。さらに副腎髄質からアドレナリンも放出されます。
ノルアドレナリンやアドレナリンの働きにより、あがり症のさまざまな症状が一気に現れます。
たとえば、頭が真っ白になったり、心臓が口から飛び出しそうなほどバクバクしたり、身体中に大汗をかいたり、手足がガクガクブルブル震えたりします。また、強い不安や恐怖に襲われます。
あがり症の克服法

民間治療法
あがり症を克服しようとするとき、民間ではこんな方法が挙げられます。
- 場数を踏む
- 観客をかぼちゃと思う
- 手のひらに「人」と書いて飲み込む
- ストレッチ
- 深呼吸
- 話し方教室に通う
話し方教室以外は全部試してみましたが、いずれも効果はありませんでした。
抗不安薬・βブロッカー
心療内科を受診すると、次のような方法を勧められます。
- 抗不安薬の服用
- βブロッカーの服用
- 認知行動療法
抗不安薬には、SSRIやベンゾジアゼピン系抗不安薬があります。
βブロッカーは、交感神経の働きを抑えることで激しい動悸を止めるお薬です。
あがり症のあなたも、発表会前日は眠れないほど不安になったり、当日は心臓が口から飛び出しそうなほどバクバクすると思います。
これらのお薬を服用することで、強い不安や激しい動悸を抑えることができます。しかし、お薬なので当然副作用があります。
抗不安薬の副作用
- 眠気
- ふらつき
- 健忘(抗不安薬服用後の記憶障害)
- 構音障害(うまくしゃべれなくなる・呂律が回らなくなる)
- 離脱症状(薬を止めるときに現れる幻覚・不安・妄想など)
βブロッカーの副作用
- 脈がゆっくりになりすぎる不整脈や、それによる心不全
- 喘息の持病がある人は、喘息の悪化
当たり前ですが、お薬の効果があるのは作用時間の間だけです。
年に1回の発表会だけなら、抗不安薬やβブロッカーを飲んでやり過ごすのも一つの方法ではあります。しかし、根本的な治療法ではないので、その度に服用しなければいけません。
認知行動療法
認知行動療法とは、物事に対する認知を変えることで、行動の変容を促す技法のことです。
主な技法には、以下が挙げられます。
- 認知療法
- 論理情動療法
- モデリング療法
- ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)
ひどいあがり症だった時の私は、「うまく歌えなかったら、観客が私をバカにするに違いない!」という恐怖や不安でいっぱいでした。そして、その時の恐怖や不安があがり症を引き起こしていました。
認知行動療法を使って治そうとするなら、「観客は、私をバカにするに違いない!」という考えを「たとえ失敗しても、他人は私をバカにしない」「失敗することは恥ずかしいことではない」という考えに修正します。
認知行動療法のセッションは、1回40~50分を10回かけて行います。
認知行動療法のデメリット
残念ながら、認知行動療法が効果があるのは「単なる思い込み」に対してです。ところが、上述したように私のあがり症の原因は①視線恐怖症②対人恐怖症③失敗恐怖症④あがり恐怖症という、実に多岐にわたるものでした。
理由もなくこれらの恐怖症を抱いたわけではなく、それぞれに辛い経験があった上での恐怖症だったということはお分かりになると思います。認知行動療法で認知の歪みを修正しようとしても、すぐに考えが変わるか?というと、難しいと思います。
したがって、認知行動療法があがり症に効果があるとは思えません。
心理療法によるあがり症の治療

2010年に、心理学や脳科学、カウンセリングやセラピーの勉強を始めました。その勉強を通して、自力で心理療法を開発しました。
簡単に内容を説明すると、
- 過去に経験した出来事で受けた心の傷をイメージングで癒す。
- 「自分は悪くない」ということを頭で理解する。
- 「失敗することはいけないことではない」ということを頭で理解する。
- 過去の出来事は過ぎ去ったことであり、未来の自分に何らの影響も及ぼさないということを理解する。
というものです。
私は、辛い出来事から受けた心の傷を約4年かけて心理療法で癒しました。そして、「過去の出来事にはとらわれない」「失敗することはいけないことではない」という認識を持てるようにしました。
その結果、「たくさんの知らない人たち」に囲まれても、彼らや彼らの視線におびえることがなくなりました。また、何かで失敗しても、そのことで必要以上にクヨクヨと落ち込まなくなりました。そうして、あがり症を克服することができました。
以上のように、あがり症の原因は①視線恐怖症②対人恐怖症③失敗恐怖症④あがり恐怖症だということが分かりました。また、⑤脳科学的原因として、これらの恐怖症が引き金となって扁桃体がストレスホルモンを分泌させ、その結果、さまざまな症状が現れることが分かりました。
あがり症を治すということは、実はこれら4つの恐怖症を治すということなのです。残念ですが、恐怖症は場数を踏んでも治ることはありません。それどころか、場合によっては悪化することもあります。
また、抗不安薬やβ遮断薬は一時的な効果しかありませんし、副作用もあります。認知行動療法は、「原因があって否定的な自動思考を持つに至った」という考えが抜けているので、やはり根本的な効果があるとは思えません。
もし、あなたがいくら場数を踏んでもあがり症が悪化する一方だとしたら、これまでのやり方を一度見直してみませんか?
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