あがり症の原因②ー対人恐怖症
あがり症の原因の一つに、対人恐怖症があります。
あがり症の人があがるのは、「たくさんの知らない人に囲まれたとき」です。
「たくさんの知らない人」に囲まれることで脳が不安や恐怖をキャッチします。
そして、自律神経が乱れて交感神経が優位になり、あがり症の諸症状が現れます。
このことを裏返すと、あがり症の人は「たくさんの知らない人」に対して初めから恐怖心を抱いているということです。
その証拠に、あがり症の人は「よく知っている人」「お互い気心が知れた人」たちの前ではあがりません。
実際、ひどいあがり症だった私も、「お互い気心が知れた人たち」の前では、スピーチも歌もあがらずに上手にこなせました。
誰でも、知らない人を前にすると緊張したり警戒したりするものですよね。
しかし、あがり症の人はその緊張や警戒の度合いが並外れて高く、それが原因であがり症を引き起こしてしまいます。
なぜ、あがり症の人はこんなにも知らない人に恐怖心を抱いてしまうのかーその原因は、子どもの頃の経験にあります。
対人恐怖症の原因
対人恐怖症の原因は、以下のことが考えられます。
- 見ず知らずの人からの突然の攻撃
- 友達だと思っていた人からの裏切り
- いじめ
- 教師による体罰
- 両親からの虐待
これらの出来事がトラウマとなって、一旦は脳の中にしまい込まれます。
しかし、「たくさんの知らない人」に囲まれると、途端に脳の中から過去に感じた恐怖や不安が甦ります。
すると、脳の中の「扁桃体」という神経集合体が「危険だから、闘え!」「危険だから、逃げろ!」と警報を鳴らします。
そして、交感神経が優位になって体は非常事態に備えるためにさまざまな変化をします。
その結果が、
- 手足がガクガクブルブル震える
- 大量の発汗
- 激しい動悸
- 声の上ずり
- ど忘れ
となって、私たちあがり症の人をさらに絶望の淵に追いやります。
対人恐怖症の治療
私が行う対人恐怖症の治療は、まずクライエントに上記の原因に対して心当りはないかをじっくりと伺います。
原因は複数の出来事が絡んでいる場合も多いので、一つ一つ丁寧にお話を伺います。
原因が分かったら、過去に受けた心の傷を心理療法で癒します。
十分に心の傷が癒されると、脳は「過去の出来事」と「現在の状況」をきちんと区別できるようになります。
すると、見ず知らずの知らない人たちに対しても、並外れた緊張や警戒心を抱かなくなります。
その結果、発表会やプレゼン、スピーチなどの「たくさんの知らない人」に囲まれても、必要以上に緊張や警戒心を抱かなくなります。
そうして、あがり症が治ります。
今までのあなたは、いくら「観客をカボチャと思え」「手のひらに『人』と書いて飲み込む」をしても、全く効果が無かったはずです。
しかし、過去の出来事で受けた心の傷を癒したことで、見ず知らずの他人に対する恐怖心が消え、あなたは臆することなくパフォーマンスを楽しめるようになることでしょう。
さらに嬉しいことに、他人に対する恐怖心が消えたことで、あなたの交友関係は以前よりもぐっと賑やかなものになっているはずです。