ギタリストNさんのフォーカル・ジストニア治療記録・1

たまたまですが、Sさんに続いて、フラメンコ・ギタリストNさんのフォーカル・ジストニアを治療することになりました。

Nさんは、10年前から、演奏時に指の不調に悩まされるようになりました。

自分の意志に反して、右手の人差し指と薬指が曲がらなくなるのだそうです。

 

私は、「まるで、『見えない力』でグイグイ指が押し戻されるような感じではないですか?」とNさんにたずねました。

すると、Nさんは、「そう、そんな感じです!」と、「どうして、知っているんですか?」と言わんばかりの驚いたような顔をされました。

 

「その『見えない力』は、Nさんの脳内に抑圧された過去の不快な感情です。その感情をマジック・セラピーで癒せば、指は元通りに動くようになりますよ」と、Nさんに説明しました。

Nさんとは、フォーカル・ジストニアの研究会で初めてお会いしたのですが、そのときとても気になることがありました。

 

お互いに自己紹介したとき、私は「ギターは趣味でやってらっしゃるんですか?」とたずねました。

すると、Nさんは「私には、プロになるような才能はありませんから」とおっしゃったのです。

この言葉を聞いたとき、直感で「あぁ、この人はご自分の才能にコンプレックスを感じているんだな」と思いました。

 

音楽の才能に対する自信の無さも、フォーカル・ジストニアの原因になることがあります。

もし、趣味で音楽をやっているのなら、「私には、ギターの才能なんて無いわ」と、ギターを諦めることもできます。

でも、プロとしてやっていくことを考えたとき、「自分には、ギターの才能なんて無い」という事実に直面することは、怖ろしいことです。

脳は、そのような怖ろしい事実に直面させるよりは、「まるごと、ギターの演奏を諦めさせよう」と考えて、フォーカル・ジストニアを起こさせます。

 

確かに、どんな分野であれ「稀代の才能」「100年に1人の天才」と呼ばれる方はいます。

でも、そのような方は本当にごく僅かです。

その他の大多数の人は、みんな毎日真面目に練習して、自分の才能を磨いていくものです。

 

Nさんは、「稀代の才能なんて自分には無い」と思い込んでしまい、コンプレックスを持つようになってしまいました。

 

私は、「芸術とは、上達のスピードを競争するようなものではありません。たとえ上手くなるのに時間がかかったとしても、それで芸術の価値が無くなるようなものでないですよね。それに、音楽とは、聴き手の心をどれだけ響かせることができるかどうかが重要なのではないでしょうか?聴き手を感動させるには、演奏者の感性とか、テクニック以外にも大事な部分がありますよね」と、Nさんに説明しました。

Nさんは、私の説明に納得した様子でした。

 

そこで、私はNさんのギターの才能に対するコンプレックスをマジック・セラピーで癒しました。

すると、セラピーが終了した直後に「あぁ!何だか、心のつかえが取れて、すごく気持ちが軽くなりました!」と、Nさんはマジック・セラピーの即効性にビックリしていました。

Nさんは、これから2度とギターに対する才能のコンプレックスに悩まされることは無くなるでしょう。

Nさんといろいろお話させていただいている間、Nさんのフォーカル・ジストニアの原因は、他にもっと根深いものがありそうだと直感しました。

次回のカウンセリングでは、Nさんのフォーカル・ジストニアの原因の「本丸」というべきものを癒すことにしました。

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>>>ギタリストSさんのフォーカル・ジストニア治療記録・1

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