Nさんの発声時頸部ジストニア記録

Nさんの発声時頸部ジストニア記録

発声時頸部ジストニア治療

Nさんの発声時頸部ジストニア治療記録

Nさんは、20年以上前から発声障害の悩みを抱えていました。

中学生のとき、コーラス部に所属していたNさんは、歌の上手さを買われ、プロオーケストラ所属の合唱団で活躍するほどでした。

ところが、あるときを境に、中低音が全く出せないという症状の発声時頸部ジストニアになってしまったのです。

それから、Nさんの歌はどんどんひどくなりました。

今では、前奏が終わり、歌い出しの瞬間から声が割れてしまい、歌えなくなってしまいました。

Nさんからお話をうかがった私は、歌えなくなった原因はNさんの完璧主義にあると思いました。

そこで、Nさんに思い当たる節はあるかどうかをたずねました。

すると、Nさんは「母親の教育のせいだと思います」と告白されました。

発声時頸部ジストニアの原因

Nさんのお母様は教育にとても厳しく、「できて当たり前」という態度で接し、できないと厳しく叱られたそうです。

このように教育に厳しい母親から育てられた子どもは「いつも完璧じゃないといけない。完璧じゃないとお母さんに愛されない」と思い込みます。

このような子どもが成長すると、失敗を極端に恐れるようになります。

そして、失敗を恐れるあまりに引きこもりになるか、完璧を目指して完璧主義に陥ります。

Nさんの場合は後者でした。

「いつも完璧じゃないといけない」という思い込みが、「完璧に歌えない自分に価値はない」という思い込みにつながり、それが発声時頸部ジストニアという症状を起こしていたのです。

そこで、私はNさんの完璧主義の原因になった、お母様との葛藤をマジック・セラピーで癒しました。

セッションが終わり、Nさんに感想をたずねました。

Nさんは、「母に対する、今までの疑念が氷解した思いです」と仰いました。

完璧主義の原因

Nさんのお母様のように子どもの教育に厳しい人は、自分を好きになれない人が多い傾向があります。

自分を好きになれない人は、「人と自分との違い」を認めることができません。

違いを認めると、自分を否定されたような気がするからです。

そのことは自分の子どもに対しても当てはまります。

というよりむしろ、「自分の子どもであるが故に」子どもの自由を許すことができないのです。

子供は親の所有物ではありません。

しかし、自分を肯定できていない親は「自分と子供との境界線」を引くことができないのです。

そして、「出来の悪い子供」を持つことは自分の価値を下げられるような気がして、親は子供に完璧を求めて辛くあたってしまいます。

発声時頸部ジストニアからの解放

私はNさんに

「心の緊張が体の緊張に繋がります。

体の緊張が喉の緊張へ繋がり、それが発声時頸部ジストニアという症状を起こしていました。

完璧主義を直せば、心は自由になります。

そして、自由な心が自由な歌を生むことができるんですね」

と説明しました。

私の説明にNさんは納得されたご様子でした。

セラピーの効果はセッションの翌日から2、3週間のうちに必ず現れます。

しばらく経過を観察し、残りの原因を次回のセッションで癒すことにして、この日のセッションは終了しました。

発声時頸部ジストニアの克服

前回のセッションから1ヶ月が経過したので、Nさんにその後の経過具合をメールで尋ねました。

Nさんからは、次のようなご報告をいただきました。

「中低音はきれいに出ました。

上昇メロディーで一部ひっかかることもあったのですが、その後すぐに修正する術が体感でわかり、この感覚は、これまでとは違うなぁと感じた次第です」

Nさんは、中低音を出せないという悩みを20年以上抱えていましたが、たった1回のセッションで発声は変化しました。

完璧主義を修正したことで、Nさんの心は必要以上に緊張しなくなりました。

心が解放されたことで、喉が解放され、発声も解放されたのです。

私の治療を受ける歌手や声楽家、コーラスの方は全て「たった1回のセッションで発声が劇的に回復しました!」と驚かれます。

しかし、「心と発声」のメカニズムについて熟知している私にとっては、特段驚くようなことではありません。

もしもあなたが発声時頸部ジストニアで苦しまれているのであれば、「心のブレーキ」を心理療法で外せばいいだけのことなのです。

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まとめ

■ 発声時頸部ジストニアの原因は、主に完璧主義にある。

■ 「いつも完璧に歌わなければならない」という思い込みが、「失敗したら、自分の価値が下がってしまう」という恐怖に繋がる。

■ 「いつも完璧でなくても大丈夫だ」という自信を作ることで、発声時頸部ジストニアから解放される。

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