ギタリストSさんのフォーカル・ジストニア治療記録

ギタリストSさんのフォーカル・ジストニア治療記録

ギタリストSさんのフォーカル・ジストニア治療記録

フラメンコ・ギタリストSさんは、かれこれ25年近くフォーカル・ジストニアに悩まされていました。

バンドを組んでいたSさんは、バンドメンバー間の人間関係のトラブルに巻き込まれました。

その挙句、ヴォーカルの女性はバンドを辞めてしまったそうです。

バンドは崩壊し、Sさんは深い人間不信に陥りました。

そのときから、Sさんの指に異変は始まりました。

Sさんのフォーカル・ジストニアの症状

なんと、ギターを持っただけで、Sさんは吐き気に襲われるようになったのです。

その後、Sさんはフラメンコ・ギターに転向し、フラメンコ舞踊団でギターを弾くようになりました。

しかし、Sさんは中指と薬指が動かなくなるという、フォーカル・ジストニアの症状に悩まされるようになりました。

エレキ・ギターを弾いていた頃のSさんは、ギター・テクニックは人よりも長けていたそうです。

それだけに、思うように演奏できないもどかしさに、Sさんは25年以上も苦しめられていました。

また、フラメンコ舞踊団では、対人関係に新たな悩みを抱えるようになりました。

とても意地悪な人がいて、なにかとSさんに嫌がらせをしてくるというのです。

Sさんのフォーカル・ジストニアの治療

Sさんのお話をうかがった私は、Sさんのフォーカル・ジストニアの原因は、バンドメンバー間のトラブルにあると思いました。

そこで、Sさんの心の傷をマジック・セラピーで癒しました。

バンドメンバーから心無い中傷をされたことに、Sさんは深く傷ついていました。

このとき中傷されたことがトラウマとなり、フラメンコ舞踊団で意地悪をしてくる人にオーバーラップし、それがフォーカル・ジストニアを発症させたのです。

私の説明に、Sさんは深く納得されたようでした。

Sさんのフォーカル・ジストニアの原因は、まだ他にもあると確信した私は、次回のカウンセリングで残りの原因を癒すことにしました。

Sさんのフォーカル・ジストニア改善報告

前回のカウンセリングから1ヶ月後、Sさんに治療後の経過をたずねたところ、SさんもNさん同様に、演奏時の指の動きに顕著な変化がありました。

「以前は、演奏時に中指と親指をコントロールできない感じがありました。弦を弾いたまま、指が動かなくなってしまうんです。でも、前回のセッションの後は、弦を弾いた後の指が戻るようになりました」

Sさんは、かれこれ25年近く指の異変に悩んでいましたが、たった1回のセッションで指は元の調子を取り戻したのです。

私は、Sさんに症状の変化を数値で尋ねました。

すると、Sさんは「カウンセリングを受ける前を10とすると、セッション後は3になりました」と仰いました。

そこで、私は残りの3を癒すべく、さらにSさんの過去を探ることにしました。

Sさんはフラメンコ舞踊団所属のフラメンコ・ギタリストなのですが、会話の端々に「舞踊団の皆の役に立たなければいけない」という言葉が出てきたのが気になりました。

「誰かの役に立つ」ということ自体は素晴らしいことですが、「誰かの役に立たない自分は価値がない」という考えには偏りがあります。

こういった偏った考えは、その人が育った家庭に原因があることがあります。

Sさんのフォーカル・ジストニアの原因

Sさんに心当たりがあるかどうか尋ねたところ、「子どもの頃、両親は両親同士、姉2人は姉同士で固まって話してしまい、私一人が会話に取り残されることがありました。もしかしたら、そのとき感じた疎外感が原因かもしれません」

このように、家族の中で一人だけ取り残されるようなことがあると、子どもは愛されるためにあれこれ知恵を絞り、生き残るための「自分なりの秘策」を考え出すことがあります。

Sさんは、家族の中で生き残るための知恵として「誰かの役に立たなければいけない」と考えてしまったようでした。

「誰かの役に立たなければ、自分には価値がない」と思い込んでしまったSさんにとって、舞踊団メンバー全員の期待に応えることは、相当なプレッシャーとなってSさんを襲いました。

そのストレスが、フォーカル・ジストニアという症状となって現れたのです。

そこで、私はSさんが子どものころに感じた疎外感をマジック・セラピーで癒しました。

セラピーの効果は翌日から2、3週間の間に必ず現れるので、3週間後にSさんに改善の様子を尋ねることにして、この日のセッションは終了しました。

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