あがり症治療の効果がすぐに表れる人、表れない人

あがり症治療の効果がすぐに表れる人、表れない人

  あがり症のクライアントの特徴

あがり症治療にカウンセリングに来る人、というと、どこか暗くてオドオドして、気弱そうな人を思い浮かべる方もいるかもしれません。

確かに、そういうクライアントさんもいらっしゃいます。

でもその一方で、堂々として自信に満ちて、社会的にも高い成功を収めているクライアントさんもいらっしゃいます。

あがり症治療のためにカウンセリングにいらっしゃる方は、社会的に高い成功を収めている人が多いです。

そして、社会的成功を収めているクライアントさんには、共通して見られる傾向があります。

それは、「負けず嫌い」「完璧主義」な性格です。

  あがり症治療の効果がすぐに表れる人

ところが、皮肉なことですが、あがり症治療のカウンセリングですぐに結果を出される方は、前者の「自信が無さげで、どこかオドオドしている」クライアントさんです。

後者の、「負けず嫌い」「完璧主義」のクライアントさんは、なかなかカウンセリングの結果を出せません。

もちろん、私はどちらのタイプのクライアントさんにも、同じ説明、同じセラピーを施しています。

それなのに、あがり症治療のカウンセリングの結果に著しい違いが出る理由は、ただ1つ。

それは、「自分の弱さを認められるか、否か」です。

  あがり症治療に必要なこと

前者の自信が無さげなクライアントさんに「あなたのあがり症の原因は○○なので、××というふうに原因を癒してください」と説明します。

そうすると、このタイプのクライアントさんは「はい、おっしゃるとおりです。私も、あがり症の原因は○○だと思っていました」と素直に理解し、私の言ったとおりに治療に取り組みます。

なので、あがり症治療の効果は翌日~3週間以内に現れます。

ところが、自信にあふれたクライアントさんに、同じように「あなたのあがり症の原因は○○なので、××というふうに原因を癒してください」と説明すると、途端に反発されます。

「あなたは私のことなんて、全然わかっていない!」「私のあがり症の原因は○○なんかじゃありません!」と、ときに「食って掛かる」こともあります。

そして、私の言ったとおりにセラピーに取り組まないので、当然効果も表れません。

残念ですが、こうしたタイプのクライアントさんは、治療を中断してそれっきりになってしまうことも多いです。

  あがり症治療の問題点

なぜ、一見すると「自信にあふれた」クライアントさんは、あがり症の原因を素直に認めることができないのでしょう?

その理由は、「あがり症の原因が○○だと認めると、自我が崩壊しそうな恐怖を覚えるから」です。

人がその問題に向き合えるのは、「問題に向き合う自信があるとき」のみです。

向き合えるキャパシティを超える原因に対しては、向き合うことが辛すぎるので、頭から完全否定します。

そして、「頭から完全否定していること」を認めることも拒否します。

あがり症の原因は何か?と問われれば、1番は「ありのままの自分を愛していないこと」と言えます。

そして、なぜありのままの自分を愛せなくなったのか?と問われると、「母親がありのままの子どもを愛してあげなかったから」という答えになります。

哺乳類の一種である私たち人間は、母親の胎内にいる時間も十月十日と長く、産まれてからも母親が授乳やオムツ替え、抱っこや寝かしつけ等の世話をしてくれないと、生きていけません。

当然、母親との繋がりは強固なものになります。

しかし、母親がありのままの子どもを愛してあげないと、子どもは自信を失います。

そして、「ありのままの自分には、価値が無いのではないか?」と脅えるようになります。

人間も動物ですから、「他人に自分の弱さを見せたくない」「他人に自分の弱さを見せたら、相手からバカにされるだろう」という怖れを潜在的に抱いています。

そして、この「怖れ」そのものを必死になって隠そうとします。

一見すると自信満々なクライアントさんは、自分の「弱さ」を他人に見せまいと、必要以上に「強い自分」を演出します。

一言で言うと、「虚勢を張っている」状態です。

そのために、「あなたのあがり症の原因は○○ですよ」と指摘する私に対して、「向き合いたくないものにムリヤリ向き合わされた」「強い自分のレッテルが剝がされる!」と、怒りや憎しみさえ覚えてしまうのです。

私もクライアントさんには「全員、あがり症を完治してもらいたい」という思いでやっているので、憎まれるのは非常に心外なのですが(^^;。

自分に自信が無くてオドオドしているクライアントは、「ありのままの自分に自信が無い」ということを自覚しています。

自覚がある分だけ、私のアドバイスにも素直に従うのです。

カウンセリングでは、「自信満々タイプの人ほど、あがり症治療が進まないこともありますよ」と、そのカラクリも当然ご説明しています。

ところが、「頭から完全否定していること」を認めることも拒否しているので、「自分には関係ない!」と反発されてしまうこともあります。

こういうケースに当たると、私も内心トホホ状態になります(´;ω;`)。

あがり症の原因に向き合うとき

それでは、こうしたタイプのクライアントさんは、どうしたらいいでしょうか?

それは、「あがり症の原因が○○だということに納得がいく日」がくることを、気長に待ち続けることです。

そして、「あのときは納得がいかなかったけど、言われてみればそうかもしれない」と気が付いたときに、自分でセラピーをやってみることです。

過去の出来事で受けた心の傷を癒したときに初めて、「あのときあがり症の原因が○○だと言われたとき、素直に認めることができなかったのは、それだけ自分がひどく傷ついていたからなんだな」と、深く納得がいくことと思います。

あがり症は、「必ず、治したい」という気持ちさえあれば、誰でも治ります。

ただ、治すためには、こうした自分の内面と向き合うための「待ちの時間」が必要になるときもあります。

「薬に頼らず、できれば自然に治したい」とお考えの方は、「自然に治すためには、ムダに思えるかもしれないけれど『待ちの時間』も必要なんだな」とご理解いただきたいと思います。

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