森友嵐士さんと心因性発声障害
元T‐BOLANの森友嵐士さんが、1994年に発症した心因性発声障害により、「日常生活では声を出せるのに、歌声を出せない」という症状に14年も苦しんでいたそうです。
心因性発声障害とは
■心因性失声
機能性発声障害の代表的なものが心因性失声症です。せきばらいや飲み込みの反射などでは、声帯はしっかり閉じて振動もするのに、いざ声を出すときは声帯を振動させないように声門(左右の声帯のすきま)が開き、ささやき声のようになります。
激しい情動のストレスを受けて起こる場合が多く、十代の若年者にも多くみられます。かりに訓練で声が出るようになっても、ふたたびストレスの環境に戻れば失声やほかの症状が出ることもあり(視・聴覚障害など)、ヒステリー性失声ともいわれます。ストレスなど原因を本人が克服すれば自然に治ることが多く、本人が声を出す意思があれば音声訓練で改善します。
心因性なので、現代医療では治す手立てがなく、森友さんは14年もの長い歳月をかけて克服されたそうです。
心因性発声障害の原因
心因性発声障害の原因は、上記にあるとおり「激しい情動ストレス」です。
森友さんの音楽活動の年表を見ると、立て続けにミリオンヒットを飛ばし、5枚目のアルバムを発表した後、まさに絶好調と言っていい時期に心因性発声障害を発症したようです。
このようなノリに乗っている時期というものは、当然ハードスケジュールだったに違いありません。
TVやラジオ等のメディア出演をしたり、音楽雑誌や新聞等からのインタヴューを受けたり、作詞作曲をしてレコーディングをしたり、ツアーで全国を飛び回ったりと、おそらく寝る暇もないほど忙しかったことでしょう。
売れっ子になってお金も稼いで羨ましい限りの活躍ぶりですが、こういう時こそ、密かにプレッシャーに悩まされている音楽家も珍しくありません。
「もし、次に発表するシングルやアルバムの売れ行きが悪かったらどうしよう?」というプレッシャーに押しつぶれそうになりながらもハードスケジュールをこなしている音楽家もいます。
もちろん、本当のところは森友さんにお伺いしてみないと分からないので、上記のことは私の推測にしか過ぎません。
しかし、「心因性発声障害」というくらいですから、何かの「押しつぶされそうなストレス」に当時の森友さんが襲われていたのは間違いありません。
心因性発声障害からの回復
森友嵐士さんによると、
「薬をもらったけど効かない。富士山の麓にアトリエを作ってリハビリした」と当時を回顧。そこで好きな釣りをしながらのんびり過ごし、45cmの巨大イワナを釣った翌日、奇跡的に歌えるようになった」
そうです。
ここで注目して頂きたいのが、この時期の森友さんは音楽活動とは全く無縁の状況にいるときに心因性発声障害が治ったことです。
・富士山の麓にアトリエを作ってリハビリ
・好きな釣りをしてのんびり過ごす
・45cmの巨大イワナを釣った
どれも音楽活動のプレッシャーとは無縁の状況です。
おそらく、心身ともにリラックスして、音楽活動のことを一切忘れることができたことが心因性発声障害の完治に繋がったのでしょう。
心因性発声障害の治療
残念ながら、森友さんのように生活費のことを考えないでリハビリに取り組めるほどの経済的余裕がある人はあまりいないでしょう。
私が行う心因性発声障害の治療は、まず心因性発声障害を発症した時期の状況を詳しくお伺いします。
心因性発声障害が発症した当時のストレスやプレッシャーが明らかになったら、心理療法でそのストレスやプレッシャーを取り除きます。
どれくらいストレスやプレッシャーを抱えているかは人それぞれなので、初回のカウンセリング以降はご自分で治療を行ってもらいます。
一日で心因性発声障害が治る人もいれば、3~4年かかってしまう人もいます。
たまたまかもしれませんが、発声時頸部ジストニアのクライアントさんがたった1回のセッションで完治されました。
関連記事:「シンガーソングライターTさんの発声時頸部ジストニア治療記録」
しかし、時間はかかっても、根気よくストレスやプレッシャーを取り除いていくことで、心因性発声障害は治ります。
私自身も、声楽を習っていた頃「高音になると、突然声が出なくなる」という発声時頸部ジストニアの症状に悩まされていました。
しかし、自分で心理療法を行ったところ、発声時頸部ジストニアの症状がたった1晩で治りました。
*この時は、あがり症の症状をほとんど治した頃だったので、原因が特定しやすかったというのもありました。
いずれにしても、「治療のための第一歩」を踏み出さないと、心因性発声障害も発声時頸部ジストニアも治りません。
迷っているあなたも、無料相談からどうぞ。