あがり症とアレキサンダー・テクニーク
あるオーケストラでご活躍の演奏家が、 「アレキサンダー・テクニークでは、 あがり症が治らない」 という悩みを私にご相談されました。
私はその方に、あがり症の原因は 視線恐怖症、対人恐怖症、失敗恐怖症、あがり恐怖症の 4つであり、治療はカウンセリングが中心になることを説明しました。
演奏家や声楽家ならだれでも、「アレキサンダー・テクニーク」という言葉を耳にしたことがあると 思います。
以下はwikipediaからの引用です。
フレデリック・アレキサンダーは シェイクスピア作品の若い俳優でした。
あるとき、彼は突然舞台上で声が 出なくなるという不調に見舞われました。
彼はこの不調を、首の後ろを締め緊張させていたことが、 頭が重たくのしかかり、声帯を圧迫していたことが 原因だと発見しました。
このことから、首が楽で、頭部を軽く脊椎の上で バランスを保っていれば声が楽に出ることに気付きました。
この発見が契機となって、アレクサンダーは、 無意識的な習慣や癖のために不必要な反応を生じ、不必要な運動を行おうとして緊張を生じることがその行為・動作を妨げているとされ、その不必要な反応を抑制することで改善が見られると考えました。
私はこのくだりを読んで「アレキサンダーさんは、私と同じ失敗恐怖症で声が出なくなっただけなんじゃないの?」と疑問に思いました。
「ジストニアという名の演奏恐怖症」で、レッスンでは問題なく声が出せるのに、発表会では「見えない手」に喉元を締め付けられることで声がでなくなった話をしました。
おそらく、アレキサンダーさんも「見えない手」に喉元をグイグイ締め付けられたことで声が出なくなったのだろうと思います。
アレキサンダーさんは役者ですから、「自分には役者の才能なんて、無いのではないか?」という「舞台恐怖症」だったと思います。
そして、この舞台恐怖症から逃れるために、アレキサンダー・テクニークの普及に努めたのだろうと思います。
彼の声が出せるようになったのは、首の緊張をうんぬん・・・ではなく、役者の仕事から離れることで、舞台恐怖症からも同時に逃れられたことからだろう、と思います。
そもそも、吃音症や失声症、場面緘黙など、「声の不調」は、100%ストレスが原因です。
今ではこのことは常識ですが、アレキサンダーさんは今から110年も前の人です。
「突然声が出なくなった」という現象が心因性であるとは、思いも寄らなかったのでしょう。
映画「英国王のスピーチ」では、英国王の吃音症は、父親による精神的虐待が原因だと描かれています。
この映画でも、英国王は最初トンチンカンな治療法を施されますが、最後には原因が明らかにされます。
失声症や吃音症、場面緘黙などの声の不調の治療は、カウンセリングが 中心になります。
私やアレキサンダーさんのような発声時頸部ジストニアの治療も、 同様にカウンセリングが有効です。
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あがり症は、近年社会不安障害の一つとみなされるようになりました。
精神科では、抗不安薬やβ遮断薬を処方されるのが一般的です。
したがって、「首の緊張うんぬん・・・」では、あがり症に効果はありません。
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