フォーカル・ジストニアの原因ー過剰なストレス

2019年11月3日

フォーカル・ジストニアの原因ー過剰なストレス

フォーカル・ジストニアの原因ー過剰なストレス

フォーカル・ジストニアの原因として、心理的な原因が考えられます。

以下はワシントン大学のホームズとレイが作成した、ヒトのストレッサーを図る社会再評価適応尺度です。

https://www.niph.go.jp/journal/data/42-3/199342030005.pdf

フォーカル・ジストニアを発症する人は、若い人もなりますが、圧倒的に中高年が多いような気がします。

その理由は、

①年齢的に強いストレスに見舞われる機会が多くなるから

②年齢を重ねると、「ストレス耐性」が弱くなるから

だと思います。

若いときは自分も家族も健康だし、背負わなければいけない責任も軽いし、「今が大変でも、将来は何とかなる」と、未来に対して楽観的になることもできます。

しかし、中高年になると、自分も家族も歳をとって身体が不調になりがちだし、背負わなければならない責任も重くなってくるし、将来に不安も出てきます。

そんな時に、不運が重なって、ストレス限界値を超えるときが来ます。

そして、フォーカル・ジストニアを発症します。

ホームズとレイの調査では、この社会再評価適応尺度で、合計300点以上の人は、80%の人が翌年病気になったことが分かりました。

また、200〜300点の人は、半数の人が翌年に、心身に何らかの健康上の問題を抱えました。

フォーカル・ジストニアを発症した音楽家とストレスとの関係

私がフォーカル・ジストニアに悩む音楽家をカウンセリングしたとき、かれらはみな「人生の転機」を迎えていました。

ある人は、大規模なコンサートに参加することになりました。

ある人は、外国の音大に留学することになりました。

ある人は、プロの音楽家として、独立したばかりでした。

ある人は、コンクールの審査員を務めることになりました。

ある人は、コンペティションに参加することになりました。

ある人は、音大の卒業試験を迎えることになりました。

ある人は、急に売れっ子となって、TVやラジオに引っ張りだことなり、次々と大掛かりなコンサートを開催することになりました。

これらのケースは一見するとバラバラのようですが「人生の転機」と言える状況ばかりです。

ホームズとレイの「社会評価再適応尺度」にこれらのケースを当てはめると、

15.「仕事の再調整」・・・(LCU39点)

16.「経済状態の大きな変化」・・・(LCU38点)

18.「転職」・・・(LCU36点)

22.「仕事上の責任の変化」・・・(LCU29点)

25.「個人的な輝かしい成功」・・・(LCU28点)

27.「就学・卒業」・・・(LCU26点)

28.「生活条件の変化」・・・(LCU25点)

31.「労働条件の変化」・・・(LCU20点)

*LCU・・・ライフイベント得点

が、考えられます。

上記のような状況は、人が生きていく上で珍しい出来事ではありません。

「これらの状況に遭遇した音楽家全員がフォーカル・ジストニアを発症するか?」と問われれば、そんなことはありません。

ということは、フォーカル・ジストニアを発症した音楽家は、発症していない音楽家と比較すると、「ストレス耐性が極めて弱い」と言えることになります。

そうすると、次に考えなければいけないことは、「なぜ、フォーカル・ジストニアを発症した音楽家は、そうでない音楽家と比較すると『ストレス耐性が極めて弱い』のか?」ということです。

この答えを解明することで、フォーカル・ジストニアを完治するための手掛かりが得られることになります。

フォーカル・ジストニアを発症した音楽家の「ストレス耐性が極めて弱い」原因

フォーカル・ジストニアを発症した音楽家をカウンセリングしたところ、彼らは自分の両親と良好な関係を築けているとは言い難い家庭環境にあったことが分かりました。

最近では「毒親」「毒母」という言葉に代表されるように、子供にとって「毒」にしかならない親の存在が明らかになりました。

「毒親」たちは、子どもを一方的にガミガミと叱りつけたり、果ては暴力をふるったり、暴言を吐いたりします。

このように、幼い頃から自分の両親によって「自分」という存在を否定され続けたら、子供の心はどうなるでしょうか?

「自尊心」や「自己肯定感」というものは、幼い頃に両親が無条件に子供を受け入れてくれることで自然と身につくものです。

ところが、幼い頃から両親による暴力や暴言によって「自分」という存在を否定し続けられたことで、「自尊心」や「自己肯定感」が育つどころか、滅茶苦茶に破壊され尽くしてしまいます。

「自尊心」や「自己肯定感」というものは、その人を一生涯に亘って支え続ける、「土台」や「基礎」のような存在です。

どんなに立派な建物であっても、「土台」や「基礎」の部分がグラグラしていたら、地震が来たら家はぺちゃんこに潰れてしまいます。

これと同じで、「自尊心」や「自己肯定感」を持たない彼らは、少しのストレスでもすぐにぺちゃんこになって潰れてしまいます。

その結果が、フォーカル・ジストニアなのです。

フォーカル・ジストニアを発症した人のストレス得点

「自尊心」や「自己肯定感」を持たない彼らが受けるストレスの度合いは、おそらく普通の人の2、3倍は高いはずです。

上記のLCU(ライフイベント)得点をそれぞれ3倍した数が、フォーカル・ジストニアを発症した音楽家のLCU得点だと思えば、合点が行きます。

たとえば、フォーカル・ジストニアを発症した音楽家をカウンセリングしているうちによく遭遇するケースとして「プロの音楽家として、独立することになった」があります。

これをLCU得点に当てはめると、

15.「仕事の再調整」・・・(LCU39点)

16.「経済状態の大きな変化」・・・(LCU38点)

18.「転職」・・・(LCU36点)

22.「仕事上の責任の変化」・・・(LCU29点)

28.「生活条件の変化」・・・(LCU25点)

31.「労働条件の変化」・・・(LCU20点)

となって、合計は187点になります。

これに3倍をかけると、LCU得点はなんと561点もの異常な高得点になります。

先ほど、

「ホームズとレイの調査では、この社会再評価適応尺度で合計300点以上の人は、80%の人が翌年病気になったことが分かりました。

また、200〜300点の人は、半数の人が翌年に、心身に何らかの健康上の問題を抱えました」

と書きました。

フォーカル・ジストニアを発症した音楽家のLCU得点は561点もの異常な高得点でしたから、彼らがフォーカル・ジストニアを発症したとしても、なんら不思議はありません。

ところで、皆さんはストレスを受けるとどのように人体が影響を受けるか、ご存じですか?

ストレスが人体に与える影響

すべてのストレッサーは、まず大脳新皮質でキャッチされます。そこから、刺激の種類に応じた、神経伝達物質が分泌されます。
それらを受けとった視床下部からはCRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌されます。
その後、内分泌が活動するルートと、自律神経が活動するルートの2つの経路に分かれます。

内分泌ルート
まずCRHに促され、視床下部の下にある脳下垂体という部分からACTH(副腎皮質刺激ホルモン)と、脳の神経細胞間の情報伝達を担う神経伝達物質の1つ、β-エンドルフィンが分泌されます。β-エンドルフィンは、別名脳内麻薬とも呼ばれ、痛みや不安、緊張を和らげる効果をもっています。
ACTHは、腎臓のすぐ上にある副腎の副腎皮質という部分を刺激して、コルチゾールというホルモンの分泌を促進します。このコルチゾールは代謝活動や免疫を活性化させ体をストレス状態から守る働きをします。
自律神経ルート
一方、視床下部からのCRHに促され自律神経が活動した場合は、交感神経からノルアドレナリンが分泌されます。その刺激を受け副腎髄質からは、アドレナリン・ノルアドレナリンが分泌されます。
中でもアドレナリンが分泌されることにより、体の各器官に血管の収縮・瞳孔の散大・血圧の上昇・心拍数の増加などの働きが促されます。アドレナリンのこの働きもストレス状態から体を防御するために欠かせないものなのです。

出典:「ストレスについて」日本成人病予防協会

このように、ヒトがストレスを受けたときに人体に与えられる影響に、「内分泌ルート」と「自律神経ルート」の2つがあります。

どちらのルートもストレス状態から体を守るために欠かせない働きを行っています。
しかしこれらの物質は、過剰に分泌されることにより免疫の働きを抑制する作用をもたらします。その結果、異物の進入に対しての防御体制をとる力が弱められ、病気にかかりやすくなってしまうことにもなるのです。
このように、外部から何らかの刺激(ストレッサー)が加わると視床下部の働きで自律神経のスイッチが切り替わると同時に、内分泌や免疫も作動し、その時々に適した状態に体を適応させるのです。
そのため、長期間ストレッサーにさらされつづけると交感神経ばかりが優位に働くことになり、CRHが分泌され続けることになるのです。結果、ホルモンもストレス状態を防御しきれなくっていきます。
またそれだけでなく、外部からのストレッサーが直接免疫機能に影響を及ぼし、自律神経、内分泌の働きを変調させることもあるのです。

体の変調のしくみ
つまり私たちの体はストレッサーにさらされ続けることによって、交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、ホルモンはストレス状態に対する防御力が限界を超えてしまったり、免疫の働きが弱まったりします。これらの作用が重なり合った結果、ホメオスタシスはバランスを失いさまざまな病気を招いていくといえるでしょう。
こうしたメカニズムにより、ストレスに侵された心は体の変調を生んでいくのです。

出典:「ストレスについて」日本成人病予防協会

私の考えでは、フォーカル・ジストニアの原因は「自律神経ルート」にあると思います。

その理由は、私が初めて映像で見たフォーカル・ジストニアを発症したピアニストの症状にあります。

そのピアニストさんは、「譜めくりでは普通に指が動くのに、ピアノを弾こうとすると、指が内側に勝手に捻じ曲がる」と仰っていました。

つまり、「指が普通に動く・動かない」の「オン・オフ」のスイッチは瞬時に切り替わっているということになります。

もし「内分泌ルート」となってコルチゾールが慢性的に放出され続けた結果、指の運動機能に関する何らかの部分が炎症をおこした結果がフォーカル・ジストニアなら、炎症が瞬時に「治る」ことはあり得ません。

したがって、「指が普通に動く・動かない」の「オン・オフ」のスイッチが瞬時に切り替わることも、絶対にあり得ません。

しかし、「自律神経ルート」となって、交感神経が異常に活発になった結果がフォーカル・ジストニアだとしたら、フォーカル・ジストニアの原因として納得がいきます。

なぜなら、交感神経と副交感神経の「オン・オフ」のスイッチが瞬時に切り替わることは普通にあるからです。

たとえば、私はひどいあがり症で7年間も苦しみ続けたのですが、あがり症もフォーカル・ジストニアと同様、「人前で歌や楽器の演奏をするときのみ」、全身から大量の発汗をしたり、激しい動悸がしたり、手足が震えたりしました。

あがり症の不快な諸症状は、交感神経が異常に活発になり、アドレナリンが過剰に分泌されたことで起こります。

この場合、「観客の視線」が交感神経が「オン」になる「スイッチ」の役割を果たしていました。

しかし、ステージを降りれば、そのような不快な諸症状に襲われることは一切ありませんでした。

ステージを降り、「観客の視線」を気にしなくなることで、途端に交感神経が「オフ」になり、副交感神経が「オン」となって、あがり症の諸症状は治まります。

このようなあがり症の症状を考えると、フォーカル・ジストニアの原因も自律神経が関係していると思われます。

したがって、「指が普通に動く・動かない」の「オン・オフ」のスイッチが瞬時に切り替わることに自律神経が関係していることが考えられます。

おそらく、「楽器演奏」が交感神経が「オン」となる「スイッチ」となって、アドレナリンが過剰に分泌されたことが関係しているのではないかと思います。

フォーカル・ジストニアを完治するためには、脳の中に溜まったストレスを心理療法で癒すことです。

そうすれば、交感神経が異常に活発になることもなく、アドレナリンが過剰に分泌されることもなくなります。

そして、フォーカル・ジストニアが完治します。

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