フォーカル・ジストニアの原因ー「漠然とした恐怖や不安」

2019年8月18日

2018年1月、読売新聞の社会面にフォーカル・ジストニアに悩む「左手のピアニスト」の記事が掲載されていました。

その女性ピアニストさんは、東日本大震災の直後、フォーカル・ジストニアを発症しました。

このピアニストさんは、当時東北から遠く離れた地域に住んでいらっしゃいました。

ですから、大震災の直接的な被害を受けた訳ではありません。

しかし、あの当時の日本人は、次々とTVに映し出される被災地の悲惨な光景を見て、我がことのように心を痛めていました。

東京に住んでいる私も、地震の直接的な被害はありませんでした。

それでも、震災の悲惨な状況を伝えるTVニュースを見ながら「いったい、これから日本はどうなるんだろう…」という、漠然とした不安や恐怖に脅えました。

そして、そうした震災ストレスに苛まれていたのは私だけでは無く、私の周囲の人も震災ストレスに苦しんでいました。

ただ、私は幸いにも、東日本大震災の前年にマジックセラピーを開発していたので、すぐに震災ストレスを癒やすことができました。

*拙著「黄金のリンゴ」には、この時の体験を基にした震災ストレスを癒す話が出てきます。

フォーカル・ジストニアに悩む演奏家さん達をカウンセリングしていると、様々なストレスやプレッシャーに直面し「漠然とした不安や恐怖」がキッカケで発症されていることが分かりました。

何しろ「漠然とした」不安や恐怖なので、対処のしようがありません。

こういうとき、普通の人は「考えても仕方のないことは、考えなければいい」とアドバイスします。

しかし、「恐怖や不安」は、否定したり無視したりすればするほど、「膨張し、増大し、増強する」という困った性質があります。

おそらく、女性ピアニストさんも東日本大震災のショックで「漠然とした恐怖や不安」が膨張し、増大し、増強した結果、フォーカル・ジストニアが発症したのだろうと思います。

「漠然とした恐怖や不安」の正体

「漠然とした恐怖や不安」と言っても、顕在意識でははっきりとその原因を意識していないだけで、潜在意識ではちゃんと理由があります。

それは、「この先、幸福になれる自信がない」という不安です。

根っこのところで自分を信用している人には、「現在がどういう状況であれ、自分は将来必ず幸福になれる」という自信があります。

こういう人は、おそらく「震災ストレス」の影響は大して受けなかったはずです。

しかし、根っこのところで自分を信用していない人は、東日本大震災のように環境が大きく変わってしまうと、その影響をモロに被ってしまいます。

私がカウンセリングしたクライアントは、「人生の転機」とも呼べるようなイベントをキッカケにしてフォーカル・ジストニアを発症している人が多いです。

たとえば、音大の卒業試験やオーディションをキッカケにしてフォーカル・ジストニアを発症した、という人がいます。

卒業試験やオーディションは人生を左右するような重要なイベントですから、それだけ強いストレスもかかります。

こういう人がフォーカル・ジストニアを発症したのも仕方ないかな、と思います。

しかし、中には「それくらいのことで?」という大したことがないようなイベントでもフォーカル・ジストニアを発症する人がいます。

一見すると軽微なイベントでもフォーカル・ジストニアを発症する人がいるということは、それだけその人の「ストレス耐性が弱い」ということを意味しています。

ストレス耐性が強いか弱いかは、その人が「根っこのところで自分を肯定しているか、否か」で決まります。

そして、私がカウンセリングしたクライアントは、例外なく、全員が「根っこのところで自分を肯定できていない」人ばかりだったのです。

つまり、フォーカル・ジストニアを発症するか否かは、イベントの大小に関わらないということになります。

今でも、被災地では被災者の方々が東日本大震災の影響でPTSDを発症している人が多いと聞きます。

あれだけの大惨事だったのですから、仕方のないことです。

私も、もし東日本大震災の前年にマジックセラピーを開発していなかったら、おそらく私もあの時うつ状態になっていたと思います。

「何事にも動じない、強い精神力」を養う

読売新聞の記事では、左手だけでピアノを演奏できるようになるまでの苦労が語られていました。

しかし、私はその記事を読みながら、そのピアニストさんの苦労や努力を、潜在意識に抑圧された「漠然とした恐怖や不安」を癒す努力に向けた方が良かったのに…と残念に思いました。

音楽家人生が続く限り、大きなイベントも小さなイベントも、すべて乗り越えていかなければいけません。

その度にフォーカル・ジストニアを発症していては、大変です。

どんな物事もそうですが、まずは「土台」をしっかりと作り上げることが大事です。

それには、「根っこのところで自分を肯定できるようにする」ことが何よりも大事なことだと思います。

精神的な土台をしっかりと作り上げたら、何事にも動じない、強い精神力が養われているようになるでしょう。

フォーカル・ジストニアを治療するということは、「強い精神力を作る」ということです。

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