頭が真っ白になってど忘れする原因

2022年12月18日

ステージで頭が真っ白になる原因

頭が真っ白になってど忘れする原因

しっかり暗譜したはずの楽譜を、 ステージでものの見事にど忘れする・・・

私も、あがり症を克服するまで、 さんざん体験しました。

自分で言うのもなんですが、普段の私の記憶力はいい方だと思います。

大学は文系でしたから、英語や歴史等、とにかく「記憶力」がモノをいう学科の勉強ばかりしていました。

頭の中に英単語や歴史上の出来事を詰め込むだけ詰め込まないといけません。

そんな私が、発表会で頭が真っ白になる事態が、どうしても納得がいきませんでした。

1曲あたり、せいぜい3分から5分程度ですから、覚えなければいけない歌詞や音程も、世界史の年表や英単語の意味ほど難しくはありません。

それに、私は完璧主義者でしたから、たかが素人の発表会と言えど、手抜きや妥協は自分に対して一切許しません。

しかも、発表会で歌うときには、譜面を見ながら歌うことは許されていません。

そのため、発表会に向けて相当しっかりと暗譜します。

しかし、いざ本番を迎えると、途端に頭が真っ白になって、暗譜したはずの楽譜をど忘れてしまうのです。

「何とかして、あがり症を治したい・・・」という気持ちが芽生えてから、心理学やカウンセリング、セラピーの本を手当たり次第に読み漁りました。

その研究の結果、自力で開発した心理療法で自分のひどいあがり症を改善することができました。

結論から言うと、「頭が真っ白になってど忘れする原因は、ノルアドレナリンの過剰分泌によるもの」です。

頭が真っ白になってど忘れする原因ーノルアドレナリン

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Photo by meo on Pexels.com

人は、過去の経験で何かイヤな思いをすると、そのときに感じた不快な感情を顕在意識で感じていたくないので、潜在意識に抑圧します。

しかし、過去に不快な体験をしたときと似たような状況に遭遇すると、潜在意識に抑圧していた不快な感情が甦ります。

すると、脳の中の扁桃体という部位が、その恐怖をキャッチします。

脳の扁桃体がこの甦った恐怖を察知すると、ストレスに対処するよう警告を出します。

警告を受け取った視床下部からは、副腎皮質刺激ホルモン(CRH)が分泌されます。

その後、内分泌が活動するルートと、自律神経が活動するルートに分かれます。

視床下部からのCRHに促され自律神経が活動した場合は、交感神経からノルアドレナリンが分泌されます。

その刺激を受け副腎髄質からは、アドレナリンとノルアドレナリンが分泌されます。

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頭が真っ白になってど忘れする原因は、このノルアドレナリンの作用によるものです。

「本来、判断力を高め、瞬発力を高めるはずのノルアドレナリンですが、大量に分泌されると機能異常を起こしてしまうのです。筋肉への血流が増えすぎると、筋肉は緊張しすぎて体がこわばり足もすくみます。『頭が真っ白になる』というのも、ノルアドレナリンが出すぎたときの兆候と考えられます。

出典:恐怖で足がすくむ理由 アゴラ

あがり症の原因の一つに、「あがり恐怖症」があります。

あがり恐怖症とは、「また、あがったら、どうしよう?」 という恐怖そのものを感じることです。

私は、発表会の前日には「明日こそ、絶対にあがりませんように!」と、強く願いながら、暗譜や歌の練習をしていました。

それだけしつこく練習するということは、「また、あがって失敗すること」を何よりも怖れていたことの証拠です。

つまり、「忘れたら、どうしよう?」 という恐怖を感じると、 扁桃体が「非常事態警報」を発令し、 ノルアドレナリンの作用で頭が真っ白になってキレイにど忘れする・・・という、 何ともややこしいメカニズムのようです(^^;。

「頭が真っ白になってど忘れ」を克服する方法

question marks on paper crafts
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それでは、発表会でのど忘れはどうしたら治せるか? という問題になりますね。

それには、 「ど忘れすることを恐れない」ということです。

何とも逆説的に聞こえますが、「たとえ忘れて失敗しても、 そのことであなたの価値が下がることはない」 ということを、脳にしっかりと認識させることが必要です。

そもそも、なぜ私はしつこく「明日こそ、絶対にあがりませんように!」と強く願いながら、喉が枯れるほどに歌の練習をしていたのでしょう?

その理由は 「忘れること」そのものではなく、 「失敗して恥ずかしい思いをすることで、自分の価値が損なわれること」 を怖れていたからです。

「ええかっこしい」と、言われてしまえばそれまでですが、私は「人前であがって失敗し、みっともない姿をさらすこと」を、何よりの恥だと思っていました。

「そんなに人前でみっともない姿をさらすのがイヤなら、声楽の発表会なんて参加しなければいいのに」と、人は思うかもしれません。

しかし、完璧主義者である私にとっては、「あがって失敗することが恥ずかしいから、声楽の発表会をあきらめる」ことこそが、自分に負けたような気がして許せなかったのです。

なんともひねくれた思考回路のようですが、「完璧主義者だから、自分のみっともない姿を人前にさらすことが許せない」という考え方そのものが、あがり症の原因でした。

つまり、発表会で頭が真っ白になってど忘れするのを改善するためには、

  • 完璧主義を捨てる。
  • 人前であがって失敗しても、それをみっともないことだとは思わない。

という、2つの意識改革が必要だったのです。

「言うは易く行うは難し」の見本のような意識改革ですが、ど忘れを改善するためには、この方法しかありません。

そこで、自力で開発した心理療法でど忘れの原因を探りました。

すると、小学生の頃の「ある出来事」が原因だと分かりました。

ど忘れの原因ー演劇部での舞台上の失敗

小学生の頃、ひょんなことがきっかけで、私は「演劇部」に入部することになりました。

小学生の頃は引っ込み思案だったのに、なぜそんな大それたことをしでかしたのか、今考えてみてもナゾですが(^^;。

なんとなく、友人と勢いで?入部してしまったような記憶があります。

しかも、顧問の先生と、部員は私を含め、たったの3人しかいませんでした。

たったの3人で、確か中国か何かの古典の劇をやることになり、しかもなぜか私が主役をやる羽目になりました。

それでも、毎日練習に取り組み、舞台のセットも手作りで用意し、衣装もそれらしいものを用意し、いよいよ本番の日を迎えました。

「部員が3人しかいない劇団のショボい劇なんて、どうせ誰も見に来ないだろう」と、私は公演開催のお知らせのポスターを校内に貼りながら、タカをくくっていました。

しかし、体育館のステージの緞帳を開けたとき、体育館いっぱいに生徒が集まっているのを見て、私は腰を抜かしそうなほどにびっくり仰天しました。

おそらく、全校生徒が集まっていたのでは?というくらいの大人数でした。

「どうせ、誰も見に来ないだろう」とタカをくくっていたのに、体育館が「満員御礼」状態だったので、私は焦ってパニック状態になりました。

そして、焦るあまりに、一瞬セリフを忘れてしまいました。

すると、体育館いっぱいの生徒たちから、ドッと笑いの渦が起こりました。

何とかしてその場を取り繕い、最初で最後の演劇部の公演は無事終了しました。

2回目の公演は開催しなかった記憶がありますから、私は余程このときのことが懲りたのだと思います。

大人になり、自分が小学生の頃に演劇でみっともない姿をさらしたことは、すっかり忘れていました。

しかし、声楽の発表会でたくさんの人を前にして歌う時に、忘れていたはずの小学生の頃の苦い記憶が一気に甦ったのです。

扁桃体が「危険か、そうでないか」を判断するのに要する時間は0.02秒と言われています。

0.02秒という極めて短い時間では、小学生の頃の演劇部での公演の失敗がど忘れの原因だと、理解できるはずがありません。

ど忘れの治療―失敗を恐れない

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Photo by cottonbro studio on Pexels.com

そこで、心理療法で小学生の頃にセリフを忘れてしまい、それを全校生徒から笑われた過去のトラウマを癒しました。

全校生徒から笑われたそのとき、私は「恥ずかしい」「みんなから笑われて、みじめだ」と思っていました。

そこで、その「恥ずかしい」と「みじめだ」という思いを癒しました。

十分に感情を癒したことで、過去の不快な体験は「ただの過去」となりました。

「辛い過去」というものは、「出来事」と「辛い感情」がセットになっています。

心理療法で「辛い感情」を癒してあげれば、「辛い過去」は、「ただの過去」となります。

「ただの過去」であれば、扁桃体が「危険だ」と認識することもありません。

扁桃体が「危険だ」と認識しなければ、ノルアドレナリンが過剰分泌されるようなことも無くなります。

後は、心理療法で下記の意識改革を行いました。

  • 完璧主義を捨てる。
  • 人前であがって失敗しても、それをみっともないことだとは思わない。

辛い記憶が潜在意識に抑圧されたままだと、いくら意識改革をしようとしても、徒労に終わります。

なぜなら、「人前であがって失敗することは、恥ずかしくて、みじめだ」という強烈な記憶が残っている内は、意識を上書き修正することはできないからです。

しかし、心理療法で「恥ずかしくて、みじめだ」という思いを癒すことで、脳の中の辛い記憶はまっさらな記憶となります。

この状態になって初めて、新しい価値観を上書き修正することができます。

私の頭の中で意識改革が進むにつれ、段々と失敗を恐れなくなり、たとえ失敗しても、ひどく落ち込まなくなりました。

むしろ、自分が何かの失敗をしたとき、それをカミングアウトし、周囲の人から笑ってもらうことに快感を覚えるようになりました。

近頃では、「自虐ネタで笑いを取る、お笑い芸人さんの気持ち」に共感できるような気がします(笑)。

以前なら、「ど忘れしたときのお守り代わり」に、声楽の先生にムリを言って譜面台を用意してもらっていました。

しかし、自分の失敗を恥ずかしいと思わなくなるにつれて、「譜面台は無くても大丈夫です」と言えるようになりました。

ついには、頭が真っ白になってど忘れすることなく、まるでプロの声楽家のように手のなめらかな動きをつけて、曲の感情を表現することができるようになりました。

あなたがステージで頭が真っ白になってど忘れすることを改善したかったら、まず私のように「子どもの頃に、たくさんの人が見ている前で失敗し、恥ずかしい思いをしたこと」があったかどうかを探ってください。

そして、原因が分かったら、心理療法で「恥ずかしい思い」「みじめな思い」を癒してください。

その後は、上記2つの意識改革をしてください。

たとえ何かの失敗をしても「あ、失敗しちゃった~。テヘヘ」と、開き直るような図太いハートを持つことができれば、あなたの意識改革が終了したサインです。

失敗しても開き直るようになれば、かえってあがらなくなり、しっかり暗譜した通りに歌えたり、楽器演奏できるようになったりします。

あなたが「自虐ネタで笑いを取る、お笑い芸人さんの気持ち」に共感できるようになったとき、頭が真っ白になってど忘れすることは無くなります。

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「忘れたら、どうしよう?と思うほど、キレイにど忘れします・・・」
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