クラリネット奏者Sさんのフォーカル・ジストニア治療記録・1

2019年9月22日

Sさんは、音大でクラリネットを専攻していました。

Sさんによると、初めは音楽短大に通い、後に音大を受験し、不合格となり、さらにその後短大を卒業した後、再度音大を受験し、入学し直したそうです。

 

Sさんは、大学二年のときにフォーカル・ジストニアを発症しました。

あるとき、「なんだか右手の薬指と小指の動きが悪いな」と思ったところからフォーカル・ジストニアは始まりました。

それから、半音階の動きが出来なくなり、練習すればするほど動きが悪くなりました。

 

三年生になったとき、ついには開閉運動までできなくなりました。

また、フォーカル・ジストニア発症によるストレスで、パニック障害も発症してしまいました。

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当然、このような状況ではプロの演奏家になることは諦めざるを得ませんでした。

音大卒業後、一般企業に就職したSさんでしたが、今度はパソコンのキーボードを打つときまで右手の指が動かなくなりました。

今では、ペンを持つときまですんなりと握ることができなくなったそうです。

 

困り果てたSさんは、フォーカル・ジストニア治療を専門としている医師のもとを訪れましたが、その医師のデータ集めのために通わされたりと、ロクな治療を受けられなかったそうです。

そして、ネットでフォーカル・ジストニアを検索をしているときに私のサイトを知り、カウンセリングにいらっしゃいました。

 

カウンセリングを始めてすぐ、Sさんはご自分の「構音障害」という障がいについて打ち明けてくださいました。

Sさんは、話しをするときに少し活舌が悪い印象を受けました。

Sさんによると、発音のための機能的な障がいがある訳ではなく、ただ発音する際に舌の動きが悪くなり、そのことで構音障害になってしまうそうです。

 

そして、Sさんはこの構音障害のために、子どもの頃からとても辛い経験をされてきたそうです。

子どもは、ときに遠慮なく残酷な言葉を浴びせることがあります。

Sさんは同級生にいじめられたり、仲間外れにされたりしました。

 

そのことだけでなく、何よりも辛いのは、実の姉からも冷たい言葉を浴びせられたことでした。

他人からの冷たい仕打ちなら、まだ我慢もできます。

しかし、本来ならば守ってくれるはずの肉親からの仕打ちは、耐え難いものです。

 

Sさんは、そのことで自己肯定感がとても低くなってしまいました。

私は、Sさんのフォーカル・ジストニアの原因はお姉さんとの関係にあると判断しました。

そこで、お姉さんから言われた冷たい言葉の数々から受けたトラウマや、同級生から言われた心無い言葉から受けたトラウマを心理療法で癒しました。

 

私はSさんに「Sさんからみたら、今の状況は障がいかもしれません。

しかし、言葉の一語一句がきちんと聞き取れていますし、Sさんが仰りたい内容も正確に伝わっています。

大人同士の会話が成立しているSさんの今の状況は、私にとっては障がいには当たりません。

たとえSさんの発音がおかしいと笑う人がいたとしても、それは他人のことをバカにする、その人の心の醜さが問題であって、Sさんが自分を否定する必要は一切ありません。

声というものは、世界でたった一つの、その人の個性です。

声そのものを変えることが不可能なのであれば、世界でたった一つの個性である、Sさんの宝物である声を愛してあげてください」

と説明しました。

 

Sさんは、涙ながらに私の説明に同意してくださいました。

 

Sさんが構音障害で受けたトラウマを癒し、自分を愛する気持ちでいっぱいになったとき、フォーカル・ジストニアもパニック障害も自然と完治していることでしょう。

 

「自分を愛する気持ちが持てません・・・」

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